おばあちゃんの家は岩手県にある。
大人になった今、遊びへ行くのはGWや冬季休暇などの連休くらいだが
子供の頃は、夏休みのほとんどをそこで過ごしていた。
このご時世であまり帰れなくなってしまったので、思い出を少し振りかえろうと思う。
〜おばあちゃんという人〜
男勝りであり、サバサバした性格。しかし、料理・人付き合いなどが上手で女性的でもある。イタリアンを食べた終わりに、テーブルにやって来たシェフが「本日の料理のお味はいかがでしたか?」と聞いたのに対しておばあちゃんは「美味しく、ないっ」と答えた。そして私達の為にお布団を沢山洗ったり、大好物を作り待っててくれる、孫想いというのが私達のおばあちゃんだ。
おばあちゃんにはいつも「女ならお洒落するべし」と言われていたので、
喜んで貰うためにも沢山お洒落して向かう。少し緊張しながら到着すると
「あらあらべっぴんになったなぁ、アンタが妹で、アンタが姉だな」
と久しぶりに会う私たちを褒めた後、ピタリと当ててくれた。
おばあちゃんは優しくて心温かい。そして私達のことが大好き。
私達もおばあちゃんが大好きだ。
双子は健康運の石で出来たネックレスをおばあちゃんにプレゼントした。
夜、おばあちゃんが「いつもの場所で寝るだろ?」と私達に聞いた。
何時もの場所というのは、昔に母が使っていた部屋のことで、私達が子供の頃もそこで寝ていた。壁には光るお星様のシール、ベッドの横にはテレビが置いてある。
怖い日の夜に「ロンドンハーツ」で二股を掛けた男が追い詰められるのを笑いながら観たのは良い思い出だ。
洗い立ての毛布に包まって寝ると、ぬくくて心まで温まった。
翌朝、父と母と散歩に出掛けた。
母が小さい時に散歩したという神社やひょうたん池を巡ると、
何故だか自分達までノスタルジックな気持ちになる。
帰宅してから、食事をしているとき
「双子ちゃん。お店の窓に貼る切り絵を作ってくれねぇか? 今回は、うさぎと亀をやりたいのさ」
と、床屋の仕事をしているおばあちゃんが言った。
双子は颯爽と部屋に入り作業を始める。
ずっと何か恩返しをしたいと思ってたから嬉しかった。
作業は深夜にまで及び、スーパーで買った甘いお酒を飲みながら、岩手は寒いので寝室から持ってきた毛布に包まり制作する。
眠くて寒くて疲れたけど、幸せな気分だった。家に帰るとき、おばあちゃんにその切り絵を見せると
「そんなに凝ったもんで無くていいのに〜! あら〜悪いことさせちゃったね、寒かったろぅ」
と、心配しながらもすごいすごいと喜んでくれた。
後で窓に貼り付けた写真も見せてくれた。
久し振りに会えて、褒められて、喜ばせることも出来て嬉しかったな。
そうだ、岩手に行こう
もうそろそろ落ち着かないかな。