人生観を話して遊ぶ、なんちゃって冒険ファンタジー。
昔遊んだごっこ遊びや過去の想い出を自作のTRPGに落とし込んで二人で遊んでみた!
やりたかったこと
・人生観を聞けるTRPGを作りたい
・出来るだけ自由度の高いシナリオ
・過去に仲の良い人物と現在仲の良い人物での違い、差は生まれるのか
・偏見について
・その人がその人であると認識するのに必要だと思うものは
キャラクター紹介
・推奨技能 幸運
・PLはイメージカラーを用意する
PL 妹 : スピカ
▶ KP情報(ここをクリック ※ネタバレ)
触れた人物の心を読む特殊能力を持つ
KP姉
-
トル(KP情報 ※ネタバレ)
設定 : 現在仲良くなるキャラ。
AFTERLIFEが確定するまで、PLの意見や言葉を常に尊重する。 -
アリ(KP情報 ※ネタバレ)
設定 : 過去仲の良いキャラ。
本編
-
00.Afterlife
真っ暗だった世界に突然色がついた。
啓二者 「一週目の人生お疲れさまでした。こちらが貴方様の記録となります」
スピカ 「私の……記録?」
顔の見えない人物からペンダントを手渡され、その謎めいた装飾を開くと、そこには過去の記憶が煌めいていた。
まるで星座が宇宙の闇を照らすように、それぞれの煌めきが個々の瞬間を象徴している。啓二者 「内容の確認をお願いします」
スピカ 「はい。。(私は死んだのだろうか)」ペンダントは下記記憶を確認出来るようになっている。(2つの記憶はPLが自由に設定して良い。人生で一番悲しいこと、幸せな事を話して貰う)
・一番悲しかった記憶
・一番幸せだった記憶スピカ 「一番悲しかったことは大切な人と離れ離れになった時」
啓二者 「このペンダントが覚えてくれています」
スピカ 「覚えてくれてるのは、良いことなのかな」
スピカ 「悲しい記憶だけど、それだけ大切に想う存在がいたということが幸せなのかもしれないね」
啓二者 「そうかもしれませんね」
スピカ 「一番幸せだった記憶は、大切な人と一緒に笑って絆を感じたこと」
啓二者 「分かりました。では、一番忘れたい記憶を見て下さい」
啓二者 「忘れたい記憶は忘れないようにペンダントに刻まれています」(耳鳴りの音SE)
そこには多くの人を殺したと刻まれている。まるで身に覚えのない記憶が記録されており、それは自身が考えられる中で一番したくないと考えているような内容だった。
スピカ 「はい。。(これは本当に私の記憶? まったく記憶にないな)」
啓二者 「確認を終えたら教会にてお待ちください」頭の奥から鳴り響くような音。これは自身の心臓の音だろうか。(心臓の音SE)
扉が開くと光の存在が語り掛けてくる。光 「一度目の人生は終わりを迎えました」
光 「ここは次の世界とつなぐ場所」
スピカ 「人は輪廻転生をしているのですね」
光 「人間の言葉ではその通りです」
光 「神さまは言いました。その人の本当の姿は死後に分かるのだと。魂は思想や行動、細部に表れます」
光 「来世で貴方はどのような世界が合うのか、これから行く世界で判断されます。貴方が望む選択をして下さい。人が罪と考えることは天界では罪とはされないかもしれませんし、逆も然りです」
光 「貴方から、何か伝えたいことはありますか?」
スピカ 「今まで過ごしていた世界は、その世界が私に合っていたからそこで暮らしていた……ということですか?」
光 「その魂にあっていたということですね。ペンダントはその人の考える、一番楽しいことと悲しいこと、忘れたいことが記憶されており、言わば魂です。魂は突然変化することはありません。その人物がどんな人物なのかある程度分かるようになってます」
スピカ 「なるほど……。魂が突然変化することは無いけれども、人間も少しずつ変化するように、魂も考え方が変わっていくのかも。輪廻転生があることで、生まれ変わる度、自分に合った世界を選ぶことが出来るのはありがたいな。間違った選択をしても、次の人生で改善していけるってわけだもんね」
光 「他に何か心残りがなければペンダントを飲みこんで下さい」
スピカ 「あの!」
光 「何でしょうか」
スピカ 「この忘れたい記憶、本当に私の記憶なのでしょうか? 記憶にないのですが」
光 「記憶にないと。……おかしいですね。いまだかつてそんな人物は居なかったのですが」
スピカ 「他の人は全て記憶とペンダントの情報が一致してたのですか?」
光 「はい、必ず一致してます」
光 「忘れたと思っていても、魂の記憶の中にはある筈です。この世界の向こう側で忘れたい記憶についても何か知れると良いですね」
スピカ 「そうですね。何かのショックで忘れてしまったのかも知れません」
スピカ (人が罪と考えることは天界では罪とはされないかもしれませんし、逆も然りって言ってたな。過去を次回に生かそう。新しい人生では、自分が正しいという行動がとれるといいな)
スピカ 「はい。では、飲み込みます」ペンダントを飲みこむと、不思議と初めからそうするべきだったかのように、それは自然に体内へと落ちた。
01.目覚め
📺Soda City Funk - YouTube(埋め込み出来ないのでURL)
自身の意識が別の次元へと移動する感覚を覚える。ペンダントは宝石と化し、鼓動のように胸で鈍く光が明滅していた。その光はまるで魂そのものが光り、心の奥底まで届いているかのようだった。
目に見える世界は異次元の美しさに包まれる。
地面には自分の名前が書かれた看板と共に芽が生えていた。
芽 「……」
その芽の成長を静かに眺めていると、地面から声する。這い出て来たのは、全体的に白色の青年。彼の胸には宝石の輝きはなく、顔には今しがた這い出たための土がついていた。
白髪の青年「初めまして、ここは『ドルちゃん界』。私はこの世界の案内役です。貴方のお名前はなんと呼ぶのがよろしいでしょうか?」
スピカ 「はじめまして。スピカと言います。スピカと呼んでください。貴方のお名前は?」
トル 「始めまして、スピカさん。胸の宝石が無い私のような存在はトルと言います」
スピカ 「トル君だね。胸の宝石は何ですか……?」
トル 「それは貴方を表すものです。よく魂と言ったりしますね」
スピカ 「貴方は魂がないの……ですか?」
トル 「私は外の世界ではなくこの世界に初めからいる存在ですから、生きていても魂の宝石は無いのかもしれません」
スピカ 「そうなんですね。では、案内をお願いします……!」
トル 「承知いたしました、まず夜に備えて食料と寝床の確保をしましょう」
スピカ 「この世界でもお腹は減るんですね?」
トル 「お腹はすきますし、眠くもなります。怪我をすれば痛いですし、次の世界が見つかるまでに死んでしまえば消えてしまうでしょう」
スピカ 「消えてしまうんですか? それまでの行動で次の世界が決まるというわけでなく……?」
トル 「スピカさんの想像通りであってますよ。この世界から消えます」
スピカ 「なるほど。沢山質問してすみません。何から何まで新しくて……」
トル 「いえ、初めて地上に出れましたから、沢山お話出来て嬉しいです」
スピカ 「そうか、地面から生まれてたから」
スピカ 「私の住んでいた世界では、食事はお金を払って手に入れてました。ここではどのように調達すれば良いのでしょうか」
トル 「では、少し辺りを見回してみましょうか」
トル 「あの場所はドルリーランドです。あそこで食事が出来ます」スピカ 「この世界では、この世界での生き方があるようですね」
トル 「貴方のいた世界は御金というものが必要だったのですね」
スピカ 「そうなんです。何かを手に入れるためには、何かの対価を払う。そうすることで、多くの人達が協力して色んな事が出来たの」
トル 「それは知恵と信頼の文化ですね」
スピカ 「たしかにそうかも」
スピカ 「面白いシステムを作るよね」
トル 「場合によっては争いも生みそうですが、争いを減らすためでもありそう……」
スピカ 「本当にそう。良い面と悪い面、どちらもあった」
スピカ 「ここはどんなシステムなんですか?」
トル 「ふふ、ここでは御金の概念はありません。それに自然豊かですのでここらでよく食べられるドングリだんごを作って、自然で過ごすことも出来ますよ」
スピカ 「ドングリだんご食べてみたいです! あと、ドルリーランドも見てみたい!」
トル 「ではまずはドルリーランドから向かいましょうか」
スピカ 「あ、案内人の方にため口は良くないですよね」
トル 「分かりやすいように案内人と説明しましたが、私は貴方のためのトルですので、お話されやすいのが嬉しいです」
スピカ 「なら、ため口がいいな。トル君も」
トル 「何だか親しくなったみたいで嬉しいな」
スピカ 「へへ、だって楽しそうなランドに行くんだから」
トル 「じゃあ手を繋いでいこう」
スピカ 「うん!」GM 幸運ダイスどうぞ
スピカ (小走りで駆け出す)
スピカ 「1d100<=65 [幸運] (1D100<=65) > 57 > 成功」
トル (貴方と会えて嬉しい)自然と頭の中に声が聞こえてくる。これは目の前にいる人物の声だ。しかし口に動きが無かった。心の声だろうか?
スピカ (これは聞こえないフリをした方がいいかな? でも)
スピカ 「トル君と会えて嬉しいな! (同じことを思っていることは伝えたいな)」
トル 「! へへ、同じこと考えていたんだ」
トル 「私もスピカさんと会えて嬉しい」
スピカ 「同じこと考えてたなんて嬉しいね」
トル 「うん……!」02.ドルリーランド
足を進めると、遠くには光り輝く街並みと楽しげな音楽が聞こえる。中には多くの魂達が居た。
トル 「ここがドルリーランドです」
スピカ [魂たちの表情を確認する]皆それぞれ楽しそうだったり、疲れていたり、笑っていたり、怒っていたりそれぞれだ。
スピカ 「楽しそうな場所だね!」
スピカ [それぞれトルがいるか確認してみる]周りにトルは持っていない。
ラブリー「ねぇ! 貴方の魂とっても綺麗!」
美麗な少女は、驚きと嬉しさが入り混じった笑顔で言った。彼女の瞳はその美しい色をじっと観察しているかのようだった。
スピカ 「あ、ありがとう……///」
ラブリー「ん? ……隣に居るのはトル? トルは私達とは違うのだから、ここに置いていくのが良いわ」
スピカ 「どうして?」
ラブリー「トルと一緒に居るのなんて、せいぜい初日くらいかしら。子供は大人になると独り立ちするでしょ? 一緒に居たらこの世界から出られないわよ」
ラブリー「ほら、行きましょう?」しなやかに手を差し伸べ、少しだけ微笑んでいる。
スピカ [ラブリーちゃんの胸元に魂があるか確認する]
自分と同じように宝石が確認できる。
スピカ (じゃあ元別世界の住人で、私と同じ境遇ということか)
少女は焦れたように腕を優しく引いた。
GM 幸運ダイスどうぞ
スピカ 「1d100<=65 【幸運ロール】 (1D100<=65) > 59 > 成功」
ラブリー(宝石の輝きがその人の魂の価値。魂が無いということは価値が無いということ)
スピカ 「でも私、まだトル君といたいから大丈夫……!」
トル 「一緒に行けば、スピカさんが奇異の目で見られてしまう……え?」
スピカ 「だって魂の光で価値が決まるとしても、私にとったらトル君は素敵な存在だし」
スピカ 「だから大丈夫! (トル君の手をとる)」
トル (嬉しいな)
ラブリー「ふぅん……勝手にしたら」
スピカ 「ふぅ……ままならないね笑」
トル 「スピカさんは偏見がないんだね」
スピカ 「分からない、偏見は嫌だけど無意識にしてることもあると思う」
スピカ 「でも、何かだけで判断するのは嫌だから」
トル 「じゃあ自分の気持ちを大切にしてるって言うのかな……」
スピカ 「そうかも」
スピカ 「私もこの世界を少ししか知らないから何とも言えないけど、色んな世界からの住人が沢山ここで過ごしてるだろうし、自分達に合う人達もこれから見つかるよ」
スピカ 「色んな人がいるからさ。さっきの人も何かを抱えていたのかもしれない。いつまでも子供でいてはいけないと思い込んでいたのかもしれないし」
スピカ 「でも、ちょっと子供っぽい対処方法だったかも。すぐ頭に血が登っちゃってアカンねw」
トル 「凄く俯瞰的にとらえているんだね……スピカさんの側は何だか安心するよ」
スピカ 「フフーン! ……そう言って貰えて嬉しい」
スピカ 「ドルリーランドでご飯が食べれるんだっけ?」
トル 「食べれるよ、名物のどんぐり団子食べてく?」
スピカ 「うん!」Post Malone, Swae Lee - Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse) - YouTube
(埋め込み出来ないのでURL)
店員「ご注文はお決まりですか?」
スピカ (雰囲気が温かくて綺麗な店内)
スピカ 「ドングリだんごを二つ」
スピカ 「あと飲み物は何がありますか?」
スピカ 「あ、トル君もドングリだんごで良かった?」
トル 「僕も同じもの注文しようとしてたから、ありがとう」店員「かしこまりました。飲み物は、エーテル、ポーション、花の蜜、ドラゴンの涙などありますよ」
スピカ 「ううん、お金もってないから何かヒヤヒヤしちゃう笑」
スピカ 「どうしようトル君、飲みたいものが沢山あるよ」
トル 「どれが飲みたい?」
スピカ 「提案なんだけど、今言われた4つを頑張って半分こしない……? ///」
トル 「全然いけるよ! では4種類下さい」
スピカ 「ありがとう!」店員「楽しいひと時を」
暫くして、注文した品がテーブルに並んだ。
スピカ 「楽しみだな」
スピカ 「前の世界みたいに、対価を払いなさいって言われたら走って逃げだそうね。……冗談w」
トル 「そしたら私が背負い投げするからその隙にダッシュ決めてね」
スピカ 「面白くて笑っちゃったw」
トル 「ここでは食べ終わったらお皿を舐めて綺麗にするのがマナーだよ」
トル 「冗談w」
スピカ 「信じちゃうよw」
スピカ [ドングリだんごを眺める]どんぐり団子は中に御肉が包まれており、ナッツ類の香ばしさと良く合っていた。
スピカ 「主食系なんだ! あつっ、はふ美味しい!」
エーテルとポーションは身体の疲れを癒し、花の蜜は香り高く、ドラゴンの涙はとても刺激的な味で、アルコールを含んでいる。
スピカ 「ドラゴンの涙クセになりそうな香りだよ」
トル 「沢山来たね、ハッフゥ、ング、っぱ、はむっ」
スピカ 「トル君ってこの世界や次の世界のこと色々知ってるの?」
トル 「芽の時代から知識が頭に入ってるんだ。でも、こんなに優しい世界なんて知らなかったよ」
スピカ 「実際に体験してみたら想像と違ったという感じ?」大皿に乗った団子は少しずつ減っていき、セットで付いてきたスープを飲むころにはお腹もタプタプになる。
トル 「トルは初めに居るだけでこんな風に一緒に食べたり歩いたりするとは無かったからさ」
スピカ 「そうだったんだ。なんかそう考えると、次の世界に行くときは離れ離れになるの寂しいね」
トル 「僕も同じこと考えてた……そうだ。観覧車でこの世界に伝わるお話をしたいな」
スピカ 「いいね、観覧車!」トルの提案に、二人は飲食店を後にして観覧車へと向かう。
乗るときにトルが手を引いてくれる。金のノブを引いて扉を閉めれば中は暖かい。車内に広がる柔らかな灯りが、二人を包み込む。トルの手が安心感を伝え、観覧車がゆっくりと上昇し始める。外の景色が次第に広がり、外には夕日が広がっていた。
スピカ 「すごく綺麗だね」
トル 「色んな場所が一望できるね」
スピカ 「ほんとう」
スピカ 「ねぇ、離れ離れになるってことはさ、みんな最期は一人なんだね。思い出の中で大切な人を思い出すだけとなる。だからトル君も私達も生まれた場所は違うけど同じだよ」観覧車の窓からは幻想的な風景が広がっていく。小さくなった都市がまるで二人だけの世界に来てしまったかのように感じる。
トル 「次の世界のことなんだけど……」
スピカ 「うん」観覧車が天辺に近づいた時、外の景色も次第に変わっていき、遠くには大きなお城が見えた。
トル 「ドル様と呼ばれる王様はどんな願い事も一つ叶えてくれる」
トル 「この世界から覚めてしまえば離れ離れになるなら、もし私にも来世があるのなら、スピカさんと一緒に居られますようにと願いたいんだ」
スピカ 「トル君……」
スピカ 「一つってどこまでが一つなんだろう......」
トル 「何処まで……?」
スピカ 「素晴らしい世界で不老不死になれますようにとかだったらさ」
スピカ 「素晴らしい世界で過ごす/不老/不死の3つになりそうじゃない?」
トル 「王様に聞いてみないと分からないけど……スピカさんの願いなら全部叶うと良いな」
トル 「もし足りなければ、私がその願いを願うよ」
スピカ 「ううん、間違えて失敗しないように考えてみただけなんだ」
スピカ 「魂が大切で慎重になっちゃうな」
トル 「失敗することが少なそうだ」
スピカ 「王様に強欲です! とか言われて最後の審判で地獄に落とされるかもw」
トル 「そしたら私が直ぐに彼女を天国に! っていうよw」
スピカ 「トル君は優しすぎるよ」
トル 「そうかな?」
スピカ 「うん……。エゴなんだけど、自分の事を願って欲しい!」
トル 「じゃあ、私の願いはスピカさんと一緒に居られますようになんだ……エゴだけどね」
スピカ 「私もそれが嬉しい」
スピカ 「すごく大きいね、この観覧車」
トル 「他の建物の何倍もあるからね」
スピカ 「……さっきご飯食べたお店でさ、本当はやりたいってわけじゃないけど、店中を荒らしたとするでしょ?」
トル 「うん」
スピカ 「そしたら次の世界に影響するのかなって」
トル 「どうなんだろうね? 次の世界は見たことも行ったことも無いから……」
トル 「でもそれが望むことならば、それがしやすい世界に行くとかかな?」
スピカ 「ううん、望まないの。ただ次の世界へ行く判定基準に影響されるのかなって。神様がみてるとしたら、人間が新しい世界に来たことで羽目を外して分けわからないことをしても、そういうの含めてその人にあった世界へ連れて行ってくれるのかなって考えてたんだ」
トル 「それが一時の感情で出てしまったとして、普段は望んでいなければ魂と合わないわけだから、考慮される……となりそうだね」
スピカ 「なるほど、それはありそう。まとまらない話を真剣に聞いてくれてありがとう……」
トル 「どんな話も真剣に聞くよ。スピカさんの考えた言葉を聞けるのは、この世界で最後かもしれないし」
トル 「最後じゃなくても、大切だから聞くよ。だから安心して何でも話してね」
スピカ 「最後かもしれない……? (すぐお別れがくるのかな)」
トル 「次の世界で離れ離れかもしれないってスピカさんも思ったでしょ」
スピカ 「うん。……最後か」
スピカ 「この世界の終わりっていつだろう。ドル様へ会いに行ったらなのかな」
スピカ 「それは知識にある?」
トル 「うん、この世界での死も終わりだけど、ドル様に次の望む世界を願ってもこの世界から消えることは知っているよ」
スピカ 「そっか。ここ居心地いいからな~ここに居ても良いやって思っちゃう」
トル 「そ、れは……」トル は少しうつむいてしまった。
▶ KP情報(ここをクリック ※ネタバレ)
触れた場合、ここに居ても良いという言葉から、トルはこの世界の住人なので喜んでいるということが分かる。
スピカ 「ううん。もちろん、すぐ行くよ」
スピカ 「願いは聞いて貰わないとね! いつ死んじゃうか分からないからさ」
スピカ 「だって来世でも会うためには、それが一番だもん」トルの頬が少し赤くなっている。
スピカ 「少し次の世界が怖かったんだ」
トル 「スピカさんなら素敵な世界に行けるよ」
スピカ 「うん..…….ありがとう」スピカ 「観覧車が下まで着いたらもう行く? 流石にドル様は寝てる時間か」
トル 「そうだね。夜も近いし、危険だから宿に行こうか」
スピカ 「うん! 興味で聞くけど、危険って例えば?」外の景色は徐々に日が暮れて影が伸びていた。
トル 「夜になると影の国の時間になるんだ。影に潜む存在が活動する時間なんだって」
スピカ 「影に潜む存在は危険なの?」
トル 「危険だよ。魂の光を奪うんだ」
スピカ 「えぇ! どうすれば回避できるんだろう」
トル 「扉を閉めて、お部屋の灯りを一つだけでも付けて置けば安全」
スピカ 「影を入れないようにすること。光に弱いってことだね」
トル 「そうだね。じゃあ宿に向かおう」
スピカ 「うん!」
スピカ 「ぼんやりしてたら真っ暗になって危険だったね。トル君が居て良かったよ」
トル 「ふふ、嬉しいな。じゃあ、ここに泊る?」スピカ 「ここは……?」
トル 「ここはドルリーランド近くにある宿だね。アーリーパークイン付きだよ」
トル 「外の洞窟でも良いし、スピカさんの好きな所が良いな」
スピカ 「ここにする! 大切なやりたいことが出来ちゃったから安全第一! 色々案内してくれてありがとうね」
トル 「ううん。役に立てたのなら嬉しいよ。大切なやりたいことって?」
スピカ 「うん、ドル様にあって来世の願いを言わないと」
トル 「スピカさんの魂は元から大切だから丁度良いんじゃないかな」中に入れば暖かいお部屋で、ランプが複数用意されている。
スピカ 「こんなところで倒されちゃったら、無念すぎるよ。私だってトル君と来世も会いたいんだから」
トル 「スピカさん……」
スピカ 「でも、二人で同じ願い事にしたら勿体ないね」
トル 「ふふ、後悔ないように決めておかないとね」
スピカ 「願い事が一つ叶う欲に抗えないよ。私は良いんですという謙虚さがなくて恥じらい深いけど」
スピカ 「花咲じいさんだったら、欲深くて失敗するじいさんの方」
トル 「願いがないなんて、きっとつまらないよ」
トル 「スピカさんの望みが沢山あるのは上手く言えないけどキラキラしてる」
スピカ 「ならいいや。このままで」
トル 「きっと、何も無いのならそれは本当の終わりなんじゃないかな」
スピカ 「私も思った。何もかも満ちていて良い感情ばかり続いても飽きてしまうかもって」
スピカ 「自分が想像したものがすぐに手に入るとか」
スピカ 「自分の思い通りにならないことも、また楽しさの一つなのかもって」
トル 「ふふ、夢中で色んな話が出来るのって楽しいね」
トル 「スピカさんが居なければ、こんなこと考えることも無かったよ」
スピカ 「あれ?」
スピカ 「私の話なんかズレてたかも……//」
スピカ 「トル君は夢がないとつまらないかもって話。私は何もかも全部すぐ叶ったらつまらないかもって話」
トル 「うん……夢があった方が良いのは、実際私のエゴだけどね。何も無かったら、もう全てに満足していたら、解脱という概念もある。私はスピカとまだまだ一緒に居たい」
スピカ 「じゃあ、私とトル君は『全てに満足し無欲な状態はどうなるか』という点で語っていたからズレては無かったのか」
トル 「ふふ、そうだね」
スピカ 「よかった~。トル君のペンダントに『この人アホだと思った瞬間』として、今のが記録されてたら恥ずかしかったから。なんてトル君はそんなこと思わないだろうけど」
スピカ 「……明日のためにも、そろそろ寝る?」
トル 「そうだね、灯りを暗くするよ」
スピカ 「えっ! 大丈夫かな、影」
トル 「外に出なければ大丈夫。私も側に居るから安心して」
スピカ 「うん」03.闇
真夜中、不意に目が覚めた。
外は異界のような恐ろしさで満ちていた。月明かりが影を投げかけ、その中で蠢く影たちが、まるで闇の舞踏を演じているかのようだった。その中で一人の青年が戦っている。
風に舞い散る黒い髪、輝く剣が夜空に煌めく。彼の足元に広がる闇は、まるで彼の力を引き立てているかのように見えた。
トル 「ん……スピカさん?」
スピカ 「起こしちゃった……? 外で戦ってる人がいるの」
トル 「外?」高みの身長から、青年が勇壮な動きで剣を振り下ろす。その剣は空気を裂く音を刻み、地面は迫力の振動で揺れた。一刀ごとに敵は次々と退散するが敵の明らかな数の多さで、彼の周りに闇が集まってくる。
黒髪の青年「ッ……!」
スピカ 「この部屋にランプある?」
トル 「あるとしても、月明かりで影が消えないように、密室じゃないと意味がないんだ」
スピカ 「窓を一瞬でも開けたら危ないかな」
トル 「スピカさん……」
スピカ 「助けたいって思うんだよね、私の魂が」
スピカ 「トル君、何かいい方法はあるかな?」
トル 「影の時間が恐れられてきたのは対抗手段が少ないから。きっとあの人はずっと戦ってきたのかな」
トル 「窓を開けるくらいなら平気だけど、私達には……」
スピカ [窓を開ける]「こっちに走れそうですかー!?」
黒髪の青年「……何か用か? 良い子は寝てる時間だ」存在に気付いた青年は、その場から魔物の群れを陽動するように離れていく。
スピカ 「えっ! 大丈夫なのかな……」
スピカ 「一旦こっちに来てみんなで作戦を考えませんかー!?」最後の一体を倒し、彼は剣を仕舞った。良く見れば右腕から血が出ているようだった。
スピカ (強い……)
黒髪の青年「要らない……俺の能力は触れた者を溶かす。だから関わらない方が良い、じゃあな」
スピカ 「私、いい案を持ってるのですが!」
スピカ 「ドル様って知ってますー! ?」
スピカ 「トル君……私すごくお節介だよね。(小さい声)」その言葉に、ずっと不愛想だった黒髪の青年は少し口角をあげた。
黒髪の青年「知っているが、もう意味は無いんだ」
スピカ 「意味は無いってどういうことですか?」
トル 「スピカさんの優しさがとても素敵だけど、私はその優しさを無碍にするあの人を少し苦手かもしれない」
スピカ 「私も人と自分から関わっていくのが苦手だから折れそうではあるけど、一人で戦ってたのは、この世界を救うためかもしれないし」
スピカ 「そしたら一人にまかせるのは酷だと思うから」
トル 「スピカさん……」
スピカ 「だからお話するだけでも出来たらいいなって思ったんだ」黒髪の青年「王様に願い叶えて貰えよ。スピカ」
彼は夜の闇に紛れて消えてしまった。
スピカ 「名前、教えたっけ……?」
トル 「私の声が届く……なんて距離ではなさそうだけどね」
スピカ 「私を知ってるの……?」
トル 「色んな魂が移り変わる世界で……前世のスピカさんの記憶には居る?」
スピカ [ペンダントの忘れたい記憶と今の光景が重なるか記憶を辿ってみる]重なることは無いが、何かを忘れている感覚がする。思い出そうとすると頭が痛んだ。
スピカ 「うぅっ……」
トル 「もう休んだ方が良いね」
スピカ [私の大切な人の姿と彼が重なるか確認する]重なることは無く、同じような現象が起こった。
スピカ 「……何で私の願い事を気にしてたんだろう」
スピカ 「彼は私の名前を知っていた。私たちの宿の前で戦っていた。触れたら溶けるから近寄るなと避け気味。私の願い事を気にしていた(?)……これらから導かれる仮説なんだけど、私を守ろうとしてたのかなって。自意識過剰かな」
トル 「それは当然考えられる結果だと思うよ」
スピカ 「行動しなければ集まる情報は少ないし、何から行動すればよいか考えるため優先順位をつけようかな。私がしたいことを述べるよ」
スピカ 「1番したいこと:ドル様にあって全てが幸せになるような願い事を言う。
2番にしたいこと:彼の事情を詳しく知りたい」
トル 「全てが幸せになるような願いを決めておかないとね」
スピカ 「迷うのが②の事情を知らないと、的外れな願い事をした場合に彼を救えなくなってしまうこと」
トル 「じゃあ、事情があるのか分からないけれど、彼の事情も確認したい」
スピカ 「うん……」
トル 「優先順位はドル様だけど、先決は彼に会うことだね」
スピカ 「うん!」
トル 「お城へ向かいながら彼を探せばスピカさんのしたいことが叶うかな?」
スピカ 「どの道、お城には向かわないといけないからね」
スピカ 「お城はここから結構遠いの?」
トル 「観覧車の遠くに見えたから、遠くはありそうだよ」
スピカ 「どうすれば次会った時に彼を引き留められるかも考えておかないと」
トル 「難儀な性格そうだったもんね……」
スピカ 「ふふw……夜遅いのに作戦立てるの付き合ってくれてありがとう。安心して眠れそうだよ。おやすみ、トル君」
トル 「よかった、少しでも力になれたら嬉しいよ。おやすみ。スピカさん」翌朝、出発の準備を進める。
トル 「私は闇への対抗手段を持たないから、夕方になったら宿へ案内するよ。道は頭の中にあるからね」
スピカ 「対抗手段か……。テントに明かりを灯すのって対策になる?」
トル 「いい考えだね! それも勿論なるよ」
トル 「テント貰っていこうか」
スピカ 「へへ、彼を探すため調査は進めるけど、ちゃんと安全にドル様の元へ向かおうとしてるから安心してね」
トル 「うんっ」歩いていると突然声をかけられる。傷だらけで片目も無い老爺だった。
老人「アンタの魂くれるかい? わしのはもう割れかかっておってな……」
老爺の言葉は冷えきった風に響き、彼の片目からは凶気がにじみ出ているかのようだった。その手が無理やり奪おうと伸びてくると、その指先は冷たく鋭い刃物のように見え、魂を引き裂かれるような感覚が広がってくる。
スピカ (危ない人だ……関わらない方が良さそう……)
老爺が触れる前にトルがその手を掴んだ。
トル 「あげることは出来ません」
老人「そうか……そうかぁ……」老爺はそう呟くと、その瞬間、周りの空気が凍りついたように感じられた。突然スピカの身体は動かなくなる。
トル 「放っておいて行こう、スピカさん」
スピカ 「動け、なくて……」老人「なんだ……この結界は……!」
目の前が一瞬強く輝き、老爺はどうやらそれ以上近づくことができなくなった。
その煌めく光景にトルが駆け寄り、安堵の息をつく。スピカ 「結界……?」
トル 「掴って」トル君が抱き上げその場を離れ、大きな湖が広がる場所で地面におろされる。
トル 「同じ魂を持つ者でも色んな人が居るね……」
スピカ 「気をつけてても危険は訪れるし、何が起きるか分からないや」
スピカ 「私、色々考えて動けないことが多いから凄く助かったよ。運んでくれてありがとう」
トル 「役に立てたのなら、嬉しいな……」
トル 「それぞれ前世の記憶から力を使うことが出来るんだけど、あの人は相手の時を止める能力だった」
スピカ 「そうなの? 私も何か使えるのかな」
トル 「特別な能力を感じたことはまだない?」
スピカ (あ……たまに聞こえる声がそうなのかも)
トル 「どんな能力なんだろう。きっと、優しくて一生懸命だから、素敵な能力だね」
スピカ 「そうだといいな」
スピカ 「あのお爺さんの魂は、どうしてああなったのか聞いとけば良かったな。トル君は何か知ってる?」
トル 「闇に光を吸われたとか、片目が無かったから大きなケガをしたとかすると宝石が割れたり欠けたりすることもあるよ」
スピカ 「そっか……。ドル様のところへ早く向かった方が良さそうだね」
トル 「そうしようか」どんぐりや果実を拾いながら、道が暗くなるまで歩みを進め、暗くもなった頃二人はテントを開いた。
スピカ 「そろそろ暗くなって来たかな……?」
トル 「そうだね」今日も蠢く影たちが、まるで闇の舞踏を演じている。
黒髪の青年「……!」
スピカ (来た……!)昨日と同じように戦っている。昨日怪我した腕は布で縛られていた。
スピカ 「あのテント内に入って貰えます……!? でないと、外に出て影と戦おうと思うのですが!」
黒髪の青年「……何を言って」黒髪の青年は少し悩んで、観念したのかテントに入ってくる。
スピカ (ほっ……)
黒髪の青年「危ないから触るなよ」距離を取って椅子に座る。
スピカ 「全て触れたらダメなんですか? 植物なども含めて」
黒髪の青年「いや、宝石を持つ者だな」
スピカ 「じゃあトル君は触れるんだね」
黒髪の青年「俺はここの魔物も倒さないといけないから、お前が満足したら出るからな」
スピカ 「……分かりました。触れると溶けると伺いましたが、少しでも触れたら死に至るのでしょうか?」
黒髪の青年「それを知ってどうなる?」
トル 「スピカさんは知りたいんですよ、貴方こそそれを聞いてどうなるんですか?」
スピカ 「いま私が気になってるのは、貴方は影の存在と同じ能力なのかなって」
黒髪の青年「……同じじゃない」
スピカ 「そうなんだ。影は魂の光を奪うんだよね。貴方は魂を持つ者だけ溶かす。けれど、別の存在ってことか」
黒髪の青年「あぁ、そうだな」
スピカ 「念のため確認だけど、影の存在はトル君に何か悪い影響を与える?」
トル 「それは大丈夫。私に宝石は無いから。ただ、トルは結界を持っているんだけど、影には効かないからスピカさんを守れなくて。夜は苦手かな……」
スピカ 「結界……あの時に守ってくれたのはトル君だったんだ」
トル 「へへ、そうだよ」
黒髪の青年「……あと答える質問は一つにしてくれ」
スピカ 「時間がないんだね」
黒髪の青年「……あぁ」
スピカ 「それなら、手短に聞くんだけど」
スピカ 「貴方の名前と、私達を守ろうとする目的を教えて」
アリ 「俺の名前はアリ」
スピカ 「アリ……」
アリ 「目的は……別に世界を平和にするためだ」
スピカ 「戦ったら戻って来て欲しいな、もう少し話したくて。それは可能?」
アリ 「……俺は話したくない」
スピカ 「……そうだよね。ありがとう、色々話してくれて」
アリ 「質問を一つにしてくれって言ったのは、俺について知られたくないからだ」
スピカ 「どうして?」
アリ 「それは言えない」
アリ 「俺について聞かないのなら敵と戦った後テントに戻っても良い」
スピカ 「明日一緒に行動して貰っても?」
アリ 「……まぁ」
スピカ 「お互いが心配で見張っていたい状態ですもんね! そうしましょう!」
アリ 「俺は別に世界が心配なだけだから勘違いするな」
トル 「は、はぁ。子供ですね……」アリが話は済んだなと言い、テントを後にする。
スピカ 「……普段使わないコミュニケーション能力を沢山使った」
トル 「なら今日はもう寝ようか。明日にはつくからね」
スピカ 「寝る前に一つだけ。思ったんだけどさ」
トル 「どうしたの?」
スピカ 「トル君の結界も特殊能力なんじゃないかなって思ったんだ」
トル 「私の……?」
スピカ 「うん、性格や性質が能力になるやつ。人を守ろうとする強さや優しさが現れてるんだよ」
トル 「そしたらスピカさんと少し近い存在になれたみたいで何だか嬉しいな」
スピカ 「この世界のこと分からないけど、違いが無いと言えるのかも知れないね。……おやすみトル君。」
トル 「おやすみ、スピカさん。良い夢見てね」▶ KP情報(ここをクリック ※ネタバレ)
XXX。
04.迷宮
Nev Plays With Himself: Zedd - Spectrum (Ft. KDrew Remix) Launchpad S Cover - YouTube
アリも一通り倒し終えたのか、トルの横で寝ていた。
トル 「おはよう、スピカさん」
3人はひとしきり食事や準備を終えると、お城へ向かって歩き出した。徐々にお城が近づいてくる。
トル 「ドル様に会うには、お城の中にある迷宮をクリアする必要があるんだ
」
スピカ 「そうなの? 警備が万全なんだね。それとも何かのテストなのかな?」
トル 「どうだろう。きっと両方の意味があるのかも……」トルに導かれ道を進むと、眼前に立ちはだかるのは壮大な城だった。
トル 「じゃあ扉を開けるよ」
その城門を押し開けると、そこはまるで別世界のような鏡の迷宮。鏡は何処かの光を反射しているのか、鏡の中の風景は不思議な光で彩られ、やがて一人の人物と出逢った。それは紛れもない自分だった。
スピカ 「貴方は偽物」
スピカ 「私……?」
スピカ [周りに仲間はいるか確認する]GM 居ます。
トル 「何を言っているんだ?」
スピカ 「貴方は普通持っている記憶を持っていない」鏡の中から話しかけてくる。
スピカ 「何のこと……?」
スピカ 「本当の存在であるならば、大切な記憶を持っているはずなのに」
スピカ 「貴方は悲しいこと、幸せだったことは覚えていても、忘れたいことを忘れている」
スピカ 「だから、私が本物」
スピカ 「忘れたい記憶のこと……。どうして知ってるの?」
スピカ 「それは私が本物だから」
スピカ 「もし貴方が本物だと思うのなら、何がその人であるとたらしめると思う?」
スピカ 「私が私である証明……」鏡も中の存在は、見た目は勿論、声も同じである。
スピカ 「貴方はトル君、アリ君とは出会った?」
スピカ 「いや、会ってない。だがそれがなんの証明になる?」
スピカ 「私達は別の人生を歩んでいるのだから、別個体でしょ」
トル 「確かにそうだね。スピカさんと過ごした記憶、貰った言葉はここに居るスピカさんの物……」
トル 「私が好きなのは、大切なのは、ここに居るスピカさんであって、そうなるともう別個体なのか」
スピカ 「私は私、貴方は貴方として過ごせばそれで良いのかなって」
スピカ 「それが『その人間であると定義される』貴方の答え。では、その道を進みなさい」
アリ 「進めるみたいだな」
スピカ 「よかったけど、何が答えとなったんだろう?」
アリ 「記憶や思考が別であれば、そもそも別個体であると伝えたわけじゃなかったのか?」
スピカ 「実は本物である証明でなく、『何がその人たらしめるか』を問われていたから、それでいいのか」
トル 「簡潔丁寧に言うとそうだったみたいだね」
トル 「そもそもこの世界が魂の行く末のテストみたいなものだから、そことリンクしているのかも」
スピカ 「そうだね。これから色々難しいこと聞かれるんだろうな」先ほどには無かった筈のガラスの花の道がそこにはあった。更に進んでいけば一つの機械仕掛けの扉が存在している。
トル 「じゃあ開けるよ」
スピカ 「うん!」扉を開けると、そこには広がるはずのない風景が広がっていた。地面は無く、ただ星々が輝く宇宙の中に立っている。息をするのが難しいような場所だが、不思議と息は出来る。瞬くオーロラが歓迎しているようだ。
振り返ると、先ほどの扉は消え、後戻りのできない。周囲の星々が次第に消えていく中、中央には巨大なブラックホールが広がっていた。
トル 「このまま進めば落ちてしまいそうだね」
スピカ [片足だけゆっくりと動かし先に地面があるか、確認してみる]そこにはどうやら透明の床があるようだった。
スピカ 「とりあえず進もうか」
アリ 「あぁ」
トル 「行こう」3人である程度進んだとき、アリは突然足を止めた。
スピカ 「どうしたの?」
アリ 「影の気配がする」スピカ 「影の気配……」
アリ 「俺はここで引き止めるから先に行っててくれ」
トル 「スピカさん、ここで影に飲まれれば終わってしまう。先を急ごう」
スピカ 「みんなで走ったらダメなの……?」遠くの星々がまるで電気を消すように、光が消えていく。
スピカ 「間に合わない……?」
闇が急速に近づき、突然自分のいた場所の床が消え去る。
スピカ 「!」
アリは焦ったようにスピカを押した。代わりに無限とも思える深淵に彼は飲み込まれるようだった。
スピカ 「アリ君!」
スピカ 「私はいつも判断が遅い……」アリは床を掴むため反射的に手を伸ばしている。しかし間に合わず、このままでは落下してしまうだろう。
スピカ 「掴まって! いや、私が掴む……!」
GM 幸運ダイスどうぞ
トル 「スピカさん……!」
スピカ 「1d100<=65 【幸運ロール】 ずっと成功してるから確率的には……厳しいけど、届け~~~! (1D100<=65) > 45 > 成功」
スピカ [彼を引っ張る]
一瞬。時が止まったかのように、周りの音が聞こえなくなる。
05.願い
多くの人を殺した。罪のない人々を。
……でも、何故記憶にないんだろう?ー これは忘れられた前世の記憶である。
*
冷徹なる科学者たちによって、スピカは多くの人間を殺せるように、生体実験の被験者とされた。
科学者「見た目は少女で油断させることも出来る、実験は成功だ」
自身から出る呼吸だけで死に至らすことの出来る存在。やがて戦争が終結し、彼女は世界から隔離された部屋で孤独な日々を送っていた。
最初は大人たちが面会に来てくれたが、その頻度も減り、誰とも会わない日々が続いたそんなある日、部屋の扉の外から一人の少年が声を掛けた。彼もまた実験の被験者で、人体の限界を超えた力が身体を蝕み、先は長くないという。
見た目を知らなくても、似た境遇の二人は自然と仲良くなった。
毎日のように彼は自身の部屋を抜け出して扉の前まで来る。アリ(幼少期)「明日、手術を受ける。もうすぐ普通の身体になる」
彼が普通になることで、もはや会いに来てくれなくなるのではないかという不安と、同時に安堵の気持ちが交錯していた。1週間後、静寂に包まれた部屋で、厳かに閉じられた扉が開く音がする。そこにはアリが立っていた。見知らぬ幼い姿だが、彼女にとっては一目で分かる存在だった。
アリ(幼少期) 「しー。静かに」
この場所に居ればアリは死んでしまう。
だから逃がそうとしても彼が走り寄ってきて抱きしめる。アリ(幼少期) 「大丈夫、これでお別れだから」
アリ(幼少期) 「ごめん、スピカが幸せに生きられるようにお願いしたんだ」大丈夫? 幸せ? 彼が何を言いたいのか分からない。
アリ(幼少期) 「来世でずっと一緒にいれたら良いのにな」
触れ合っているのに、何が起こっているのかを理解することは難しかった。
彼の気持ちが分かったら良いのに、と私は小さく望んだかもしれない。その後、彼女の中から殺戮兵器としての記憶が消え去り、スピカは普通の人と同じような生活を始めた。
その中でアリとの思い出は残っていなかった。*
握りしめた手が灼熱のように痛む。それでも手を離すことなく、アリは透明な床に乗ってやがて手を離した。
アリ 「無茶な真似を……」
スピカ 「……アリ君だって」
アリ 「あぁ。ああしないとスピカが落ちてしまうからな」
トル 「手当てするね」
スピカ 「ありがとう......」手際よく消毒と包帯を巻く。
アリ 「分かった。俺がここに居ればスピカは無茶をするんだろう」
アリ 「一緒に走ろう」
スピカ 「うん……!」
スピカ (彼は自分の事を調べなければ、一緒にいてくれると言ってたな)3人は息が切れても止まることも無く走り続けた。辛くなればトルが手を引いてくれる。危なくなればアリが守ってくれた。
スピカ (この記憶は話して良いのかな……思い出す分には構わないのかも)
扉が何時の間に現れたのだろうか。空に届きそうな金の扉が目の前に現れる。いつの間にか影の存在も居なくなっていた。
スピカ 「アリ君、私は幼い頃、殺戮兵器だったんだよね……?」
スピカ 「さっき、ちょっと思い出して」
アリ 「なんでそれを……」
アリ 「……その事実はもうない。夢でも見たんじゃないか」
スピカ 「私が忘れたいという感情よりも、アリ君を思い出したいという感情が勝ったんだと思うよ」
アリ 「思い出したのか……」
アリ 「どちらにせよ俺は一度王から願いを叶えて貰ってる。この先に行っても意味が無い」
スピカ 「でもついて来てくれるんだね」
アリ 「昔と姿が変わっているのに、よく俺が過去の記憶と同じアリだと分かったな」
スピカ 「面影があったからかな。それが顔なのか、性格なのか、本質なのか分からないけどね」
トル 「この先には王様が居るはず。願いは決まったかな」
スピカ 「……うん」
トル 「じゃあ、王様に会いに行こうか」
スピカ 「そうだね」ドル 「よく来たね」
ドル 「君の願いは何かな? 君が来世に望むものを教えて」
ドル 「先に伝えると死者の蘇生には対価が必要だし、願いを無限にするのは出来ないよ」
スピカ 「えっと『大切な人達とずっと幸せに暮らせます様に』です」
ドル 「分かった、じゃあ目を閉じて」
06.Afterlife
ED5 望んだ世界(トル&アリ ルート)
アリ(幼少期)「明日、身体を戻す手術をするらしい」
その言葉は嘘だった。
人権を無視したこの実験は、世間へ知られる前に無かったことにされるだろう。
だから、スピカの残りの時間を可能な限り引き延ばすために、手術は自分からして欲しいとお願いをした。
この施設で事件を起こし、出来る限り最後まで足掻けばその鎮火に追われ、スピカの生きる時間が伸びるだろう。アリ(幼少期)「おやすみ……スピカ」
*
啓二者 : 「一週目の人生お疲れさまでした。こちらが貴方様の記録となります」
それから、俺は迷宮を越えてドルと出会った。
ドル 「君の願いは何かな? 君が来世に望むものを教えて」
アリ(幼少期)「お願いします。スピカがどうか幸せに暮らせますように」
ドル 「う~ん、スピカはキミじゃないけど。それに幸せって?」
アリ(幼少期)「それは、彼女があの場所を出て生活が出来ること」
ドル 「分かった、皆来世について願うから、じゃあオマケ。最後に会って伝えて良いよ」*
スピカは幸せに過ごせただろうか。自分の存在が無かった世界で、彼女が大切な人々に囲まれて笑顔を見せている姿を想像してみる。
アリ(幼少期)(せめてこの世界でスピカと過ごせたら……)
アリ 「でも自分と会ったら、思い出してしまったら、辛かった記憶まで(大量殺戮)」
アリ 「なら、この世界を少しでも安全にしよう」
アリ 「出来るだけ幸せな世界で生きられるように」少しでも安全で幸せな世界を作り上げるために、アリはその使命を果たすことを決意した。
*
病院の天井を見つめながら、隣から聞こえる赤ん坊の泣き声が耳に心地よく響いてくる。その声は何故か懐かしく安心できた。
看護婦さん「男の子と女の子の2卵生の双子ですよ~!」
-------------
スピカ 「ここが私の望んだ……世界」
穏やかな風が心地よく吹き抜ける。
トル 「今日は何して遊ぶ? 影踏み、はないちもんめ? ふふ、すぐ一緒になれてそれも幸せだね」お隣の永瑠(とる)とは腐れ縁なほど一緒にいる幼馴染。今日も一緒に遊ぶのだと、朝日の中で彼が元気よく迎えに来ている。
トル 「それとも新しい冒険を始めるのはどうかな?」
トル 「でも君の双子のお兄さんが煩いんだよなぁ……。私はスピカさんと許嫁といっても過言ではないのに」
アリ 「過言だろ」
スピカ [私に前世界の記憶はありますか? ]GM どちらでもOK
スピカ (二人は記憶がなさそうだから)
スピカ (いやあるのかも……?)
スピカ 「ドルリーランドで遊ぶのも良いかもね?」
トル 「ふふ、懐かしいね」
トル 「この世界でも一緒に過ごせるなんて夢みたいだよ」
トル 「私はあの場所で過ごすものだと思っていたから」
スピカ 「そういえばそっか、すっかりあの世界の住人だってことを忘れてたよ」
スピカ 「アリ君にも触れるのも新鮮。何を今更って感じだけど」
アリ 「産まれた瞬間から一緒に居るといるのに改まってどうしたんだ?」
スピカ 「懐かしい夢を見ちゃったんだ」
アリ 「まぁ、俺もまさかスピカと一緒に過ごせるなんて、考えたことも無かったな。……考えたことは無いのは嘘だ。叶うとは思ってなかった」
スピカ 「そうなんだ。じゃあ私たちの願いがみんな一致しててよかったね!」
スピカ 「でも、アリ君は何で溶かす能力を持ってたんだろうね」
アリ 「仮説になるが、スピカが悲しい記憶を思い出さないようにと願っていたから、近づけない能力だったのかもな」
スピカ 「なるほど~辻褄があうね」
トル 「ふふ、私は許嫁(自称)だから病める時も健やかなるときも、本当の意味で永久に一緒だよ~」
アリ 「っふ、産まれてから死ぬまで此方も家族だ。血まで同じだしな」二人は仲良くいつものように言い争っている。
スピカ 「じゃあ、今日はディ〇ニーシーでも行く?」
トル 「良いね! じゃあ朝1電車に乗っちゃお!」
スピカ 「せっかくのお休みで、懐かしい夢を見たことだしね!」
アリ 「そうするか」
スピカ 「ポークライスロール食べてドングリ団子に想いを馳せるよ」
アリ 「待ち時間を考えたら後1時間後でもいいんじゃないか?」
トル 「待ち時間も楽しいんじゃん、ね、スピカさん?」
スピカ 「そうだよ! 長い時間遊びたいから!」3人は早朝から一番前に並んだ。一日中ディズニーシー〇で遊び、ポークライスロールを食べる。そうやって昨日も一昨日も飽きずにずっと一緒に遊んだ。その日常がきっと、明日も、その先も、ずっと続くだろう。
スピカ 「人生って一度で終わりなのに、そういうこと忘れちゃうよね」
トル 「本当だよね」
スピカ 「いや、せっかく手に入れた人生なのにさ、なんか大変さに揉まれて幸せだと思うことに時間が割けないことがあるなって」
スピカ 「でも自分の思い通りにならないことも含めて人生は楽しいのかも知れない」
アリ 「今となっては無限に感じた夜も、出会えた今では懐かしい思い出となってるからな」
スピカ 「たしかに辛いことがあったからこそ、今が掛け替えのない時間だということを実感するよ」
アリ 「結局俺は怖かったのかもしれない」
スピカ 「怖かった……?」
アリ 「俺の居ない世界で、大切な存在は沢山出来る。俺はそれで幸せだと思ってたし、それが当たり前だと思ってた」
スピカ 「うん」
アリ 「だから、次の世界で会うことは無いって諦めてたのかもな」
アリ 「それも、スピカが変えたけど」
スピカ 「私も保守的で怖がりだから似てるね。でも私が諦めたくないって思ったのは、アリ君のおかげだから、アリ君がそうさせたんだよ」
トル 「怖がりとは思えないけど勇気あるけどね」
スピカ 「もう跳び出すしかない状況ばっかりだったから笑」
スピカ 「怖がりながら駆け出してたよ笑」
トル 「タワーオブテラーに乗る今もその中の一つかもしれないよ」
スピカ 「どういうこと?」
トル 「もう戻れないから乗るしかないってこと」
スピカ 「タワーオブテラーも人生ってことか」
トル 「ライフオブテラー」
スピカ 「恐怖の人生w」
アリ 「何言ってるんだ……」
スピカ 「そう、何が起こるか分からないからさ、トル君とアリ君とこれからも幸せでいられるように努めていきたいと思うよ」
トル 「私は何があってもスピカさんとなら幸せだけどね。もっとそう思えるように色んな事をしてこうね」
スピカ 「うん!」
アリ 「出来る限り不幸を遠ざけるために粛々と対策するかな……」この絆は永遠に続いていく。3人は確信していた。
~ おしまい ~
感想
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ED
ED1 誰かのために(主人公が誰かのために魂を使用した)
「御姫様(王子様)の産声です、この世界に安泰をもたらすことでしょう!」
目が覚めるとけたたましい歓声がする。しかし貴方はただただ煩いと認識して泣くだろう。貴方はどうやら一国を担う王族として産まれたらしい。のちの伝承でこの世界に安泰をもたらし、多くの種族が誇り高く共存する国の長として語り継がれる。歓声の中で泣いた貴方が、やがて大いなる愛と力で国を導いていく。ED2 トル、ED3アリ
妹EDを分けたパターン
ED4 ドル
ドルとこの世界で生きていく
ED5 望んだ世界
PLが望んだ世界になる
妹のキャラ
前回のイアちゃん
・子供っぽい
・可愛らしい
・周りを守る今回のスピカちゃん
・大人っぽい
・儚い
・守りたくなる過去の記憶ネタばらし
・ドルちゃん界、ドルリーランド
→ 過去にごっこ遊びでレギュラーに登場した世界・芽
→ 過去のごっこ遊びで存在が終わると芽になるところから
・ドルちゃん、アリ君、トルさん、ラブリーちゃん
→ 過去のごっこ遊びで出てきた登場人物。どんぐり団子は前半3人の食事。
・鏡の迷宮
→ 子供の頃双子で迷宮難しすぎた
・影の国、明るい部屋だけ許される世界観
→ ドルちゃん、アリ君、トルさんがごっこ遊びで挑んだ冒険Afterlife 次回に向けてのメモ
・KPキャラが自己犠牲しがちなので別の切り口にする。
▶ 妹:感想(ここをクリック ※ネタバレ)
前作は価値観を追求するシナリオ、今作は死生観に焦点を当てたシナリオ!?
両作とも哲学的な要素やキャラクターの内面にある葛藤を描いてるの姉らしいな。その特徴に独自性を感じた。前作と今作の違いは、前作が「過去を変えるために奮闘する物語」、今作は「未来に向けて奮闘する物語」なのかなって。死生観をテーマにしたストーリーは、一般的には鬱展開やダークな印象が予想されるけど、この作品は驚くほど優しくて温かかった。深いテーマを追求しながらも、希望と善意に溢れていて心が明るくなる。死から始まる展開も新鮮で、これからの展開にワクワクして惹きこまれたな。
とくに感動したシーンは、幼少期のアリ君が誰からも見放されたスピカちゃんを支えるシーン。全編を通して涙が止まらなかったのは、深い愛情に触れていたからかも知れない。ストーリー以外でも、姉と一緒に過ごした幼稚園から小学生時代のごっこ遊びに登場するキャラクターや設定が、姉の記憶に長く残っているんだなって涙した。
そして、遊び終わった後に教えてもらい、初めて気づいたんだけど、相手の気持ちを「触れる」ことで読めるというトリガーが判明した瞬間は衝撃だった。不意打ちや予測不能な展開は、複雑性や深み、強烈な印象をもたらすね。
素敵なクリスマスプレゼントをありがとう。姉の作った世界が綺麗で奥深くて、これまでの中でも大好きな作品になったよ。君のつくった作品をもっともっと沢山遊びたい。というか、感想を書くために読み返したらまたボロ泣きしちゃってさ、明日も目が腫れた状態で会社に向かうよ。ガハハ!