【CoCシナリオ】メーデー、電子の戦場より。 | TARA/VINE
バディ向けの戦闘シナリオです。ドンパチします。
https://booth.pm/ja/items/1522832 #booth_pm
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これからシナリオをプレイされたい方
ネタバレなのでご覧になりませんように
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キャラクター紹介
PL 姉 : 雪代 郁人(ゆきしろ いくと)
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技能 / 設定
KP & KPL 妹 : 胡桃 浬(くるみ かいり)
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技能 / 設定
正義感が強く生真面目な性格。警察官。仕事上では上手くやれるが、プライベートとなると、堅苦しさを感じさせるため、あまり深い友達はいない。郁人とは小学生からの幼馴染で、郁人の前では素の自分でいれると感じている。
本編
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00.出会い(シナリオには無いシーン)
一度目の虐めの理由はもう覚えてない。
二度目はまた起こらないように、周りの考えを察しようとし過ぎたこと。
三度目、……この世界に僕は合わないんだ。「また転校でごめんな。御父さん一生懸命働いているんだ。郁人のために」
「うん、何時も頑張ってくれてありがとう。新しい所も楽しみだよ」そう言うと父はホッとした表情をする。
(上手くやらないと……)
僕が住む高層マンションの大きい窓は決して開かない。下を見れば遥か遠くに地面が見えた。
(死ぬのは怖くない。怖いのは……)
「は……初めまして、雪代 郁人(ゆきしろ いくと)です」
蚊の鳴くような声。
(上手くやろうと思うほど出来なくなるのは、呪いでもかかっているのかと錯覚する)
教室は嫌に静まり返っていて周りの目が怖い。
何処の場所でも同じ。この世界で異物の僕は、何とか消えないようにしながらもー 目立たないように、誰からも見られないよう透明になるんだ。
「郁人鍛えてるんだろ~鞄持てよ~」
「う、うん……良いよ」
(はぁ、不真面目なのに置き勉はしないんだ。抵抗することも出来るけど、虐めは標的を変えて続く)額から流れた汗が足元に落ちる。地面は水を吸って、跡だけ残して姿を消した。
夕暮れの部屋、高い窓から眺めた遠くの地面が脳裏をフラッシュバックする。(……僕も)
(僕も、消えたい)
「自分の荷物くらい自分で持ったらどうだ」
「…………え?」顔をあげれば、太陽の眩しさによってぼやけた後ろ姿。
僕はこの光景を何時までも覚えているだろう。見て見ぬ振りをするのが普通。異物(バグ)は排除するのが普通だったから。
彼は、僕にとってこの世界でただ一人の救世主。
物好きな彼は、周りの人に注意することも、僕の近くに居ることも、止めなかった。「いつもありがとうございます。でも、その……止めて、欲しくて。胡桃さんまで虐められてしまいますから」
「なんで?」
「えっ? ……っと、人は自分達の場所を守るため異端者を排除しようとするから」
「違くて……」
「……」
「助け合おうよ、友達なんだから」01.導入
そんな声とともに意識が浮上する。
「ここは……?」
気が付けば硬い床に座り込んでいたようだ。ガタガタと震える振動が体に伝わってくる。薄暗い空間を窓からの光を頼りに見渡すと、狭いコンテナのような場所だった。周囲には戦闘服を着た男達が座っており、いずれも上半身くらいある銃を抱えている。自身も同じ格好だ。感じる揺れや辺りの様子から、ここは兵員輸送車であることが推察できた。
(いつの間にかVRゲームをしてたのかな……)
(でも鼻に漂うホコリの匂いや、床の振動まで感じる……。夢にしてもリアルだ)リアリティーのある空間に、夢との境界がじんわり曖昧になっていく感覚を覚える。
(気絶してからここに運ばれたのだろうか。 でも何のために……)
(兵士輸送車ということは、これから戦闘が始まるのかな?)
(にわかに信じがたいけれど異世界トリップ……ということもあるかもしれない)雪代 郁人 : 1d100<=95 【目星】 (1D100<=95) > 36 > 成功
荷台の奥の方にいる人々は、真面目な顔をして銃を抱えている。ただ、入り口に近い方の人たちは戸惑った視線をあちこちに向けている様子だ。彼らは自分と同じ状況なのかもしれない。行先を聴くため、まずは目の前の落ち着いた人に声を掛けた。
「あの。すみません、僕は雪代と言います。お話してもよろしいでしょうか?」
「……」男は郁人の方を見つめると、ただ一言、しかしはっきりと聞こえる声で囁いた。
「Stay alive」生き延びろ―――と。
トラックは鈍い音とともにゆっくりと停止する。トラックを降りて地面に立つと、砂埃に交じる硝煙と血の香りが不快に空気を淀ませていた。
ブーツの下でジリ、と石のこすれる音がする。五感から伝わる全ての感覚が『ここは戦場である』と伝えてくるようだった。
「……」
仮説されたキャンプ地には、焚き火の跡や荷物の箱、コンテナなどが視界に入る。その場には既に兵士が数人おり、なにか無線で通信しているようだ。どこか薄汚れた格好の兵士と、真新しい装備に身を包んだ兵士の二種類がいる。前者は自らの装備を確認し、手慣れた様子で軽く銃の点検をし始めている。後者は自分と同じく現状に戸惑っている様子だ。
「新兵諸君。残念ながら詳細を語って聞かせる暇はないようだ。諸君らがすべきは敵の殲滅。その手に抱えた武器で務めを果たせ。自らに降りかかった運命を知りたいのであれば、戦ってその糸を手繰り寄せろ。」
(……わぁ〜)
瞬間、無線機から甲高いアラーム音が響き渡る。それと同時に兵士たちがはじけるようにキャンプ地から走り出した。先ほどまで語っていた男も同様に、銃を構える。
「行け、散れ!敵が来るぞ!」
追い立てられるように走り出すもの、パニックを起こして固まるもの、状況に困惑して辺りを見回すものなど。反応は様々であるが、いずれにしてもはっきりとわかる。何かが始まったのだと。
雪代 郁人 : 1d100<=95 【目星】 (1D100<=95) > 60 > 成功
自分の装備を確認すると戦闘服の他にボディアーマー、戦闘用ヘルメット、ゴーグルを着用していた。所持している武器は以下だ。アサルトライフル、M4A1 カービン(アサルトライフル)、ベレッタ M9、手榴弾 2 個、ファイティングナイフ。
「っ、この場所から回避しよう」
(銃に当たるとまずいから隠れながら進もう)雪代 郁人 : 1d100<=86 【回避】 (1D100<=86) > 7 > 成功
低い姿勢を保ったまま静かにその場を離れ、荒廃し色褪せた街中を進む。方々から破裂するような連続音や爆発音が聞こえてきて、今この付近でたしかに戦闘が起こってるのだと感じられた。
しばらく歩いていると、ふいに瓦礫かなにかに躓いて転倒する。いや、それは瓦礫などではなかった。そこに転がっていたのは、無惨にも顔に、胸部に、無数の穴を開けている人間の体だった。
冷たくなった肉からとめどなく赤い血が流れ出し乾いた地面に染み込んでいる。息を吸い込めば、濃密な甘い血の香りが一緒になって肺を満たす。どう見ても、これは夢やフィクションなどではない、現実の死体だった。目のまえの死体と、まぎれもない戦場に来てしまったことに対する正気度チェック。
雪代 郁人 : 1d100<=65 【SAN値チェック】 (1D100<=65) > 4 > 成功
雪代 郁人 SAN : 65 → 64
(流石に現実とゲームは全然違うな……)
しかし戦闘によるアドレナリンのお陰か、それとも命の危険からか、身体は縮こまらない。いくら周りを見ても、進んでも、ただただ戦場が、鮮烈な赤が広がるばかりだ。死と火薬の匂いが体にこびりついていく。走れば人の死体とすれ違う。
一体なぜ。ここはどこだ。その問いに答える声はない。建物を縫って角を曲がった眼前に、輸送車の中で隣に座っていた気弱そうな男がまろびでてきた。彼は郁人の姿を見て、涙にぬれた顔を安堵にほころばせると「た、助けてくれ…!」その手を伸ばしてくる。
雪代 郁人 : 1d100<=90 【応急手当】軽い手当なら (1D100<=90) > 98 > 失敗
その言葉に鞄の中を探るが、気付けば手が震えていた。
「助けようとしてくれて……ありがとな。っかわりに、少し警告をさせてくれ。あ、浅黒い肌の……外国人兵士が襲い掛かって来たんだ。 隣にいたやつの頭がはじけて……トマトみたいに……」
はは、と引きつった笑みが男からこぼれる。
「警察に連絡……いや夢で、か? そうだこれは夢だ……俺はなにを馬鹿なことを……」
けたたましい銃声の音。先ほどまで話していた涙にぬれた男の顔が、かくんと右に片向いた。その側頭には真っ赤な穴が空いていて、そこからすぐに血が噴き出す。刹那、郁人は銃声の方を振り返り撃った。
雪代 郁人 : 1d100<=84 【ショットガン】 (1D100<=84) > 48 > 成功
振り向きざまに撃った弾は見事に命中したようで、郁人に撃たれた男の身体は傾き地面の上に崩れる。四肢が壊れた人形のように奇妙な形で投げ出されていた。
(ゲームで鍛えていて良かった……少しは通用するらしい)
「しかし守れなかったな……」初めて人を撃ち抜いた。銃を持った手にじわりと汗で滲む。呼吸が浅くなるのを感じる。
「流石だな」
瓦礫の上にいるらしく、頭上から聞き馴染みのある声がした。
胡桃 浬。救世主もとい僕の幼なじみであり、ただ1人の友達だ。
浬は倒れた死体に向けて構えていた銃を降ろし、背中に担いだ。「えっ浬も来てたの?」
「気が付いたらいた。少なくとも 3 日くらいはここにいる」
「3日、さっきの死んだ人が夢かもって言ってたけれど、直ぐに戻れるってわけじゃないんだね」
「そうみたいだな……」
(でも僕だけじゃなくて浬も居るのは安心するな……)予想外な友達の登場に張り詰めた心が少し和らいだ。
一時的に瓦礫の隅に隠れながら、情報を共有する。「ここは『第 0 区域』と、そういう名前の場所らしい」
「そっかぁ、ゲームでいう所の初期地点みたいな名前だね」
「ははっ、確かにそうだな」
「ここではお腹空くの?」
「お腹も空くし、怪我したら普通に痛い」
「そうなんだ……さっきの死んだ2人何か持ってないかな」
(郁人に会うとほっとする)
「死体漁りは基本だよね」
「少し漁ってみるか」ここで戦闘タイプを選べるドン!
選べる戦闘タイプ :
●白兵【近接戦闘のエキスパート】
・ダメージボーナスを 1 段階上昇させる。(1d4→1d6、1d6→2d6)
・MA の基本成功率は 50%となる。
・好きな近接武器格闘技能に 30%ボーナス、ただし 80 を超えることはない。
・コンバットナイフの成功率は 70%となる。●狙撃兵【銃火器のエキスパート】
・リロードに戦闘ラウンドを消費しない。
・全銃火器の基本成功率が 50%となる。
・任意の銃火器技能ひとつに 30%ボーナス。ただし 80 を超えることはない。
・拳銃の成功率は 70%となる。●衛生兵【後方支援特化】
・回避に 30%ボーナス、ただし 80 を超えることはない。
既に回避が上限の場合、dex に+3。
・医学、応急手当の基本成功率は 70%となる。
・回復量に失敗時 1 点、成功時 1d3 のボーナス。
・今シナリオ限定特殊技能として【支援要請】75%を取得。成功時、探索者と同伴者の HPを 3d4 点回復する。1 日 1 度のみ使用可。「浬のジョブは?」
「俺は警察官だから、どれでもいけるが得意なのは狙撃かな」
「死んだら嫌だし、回復しようかな」
(そういえば、さっき助けられもしなかったのに衛生兵を名乗るのか……)
「頼もしいな。なら回復は任せた」
「う、うん! 頑張るよ」
(白兵か。癒されるから、らしい選択だな)
(優しい目……)〇1st ミッション:C 地点の奪還
けたたましい無線連絡のやり取りが、響く銃声が、焦燥感を掻き立てる。それでも先ほどまでとは違う。隣に相棒がいるだけで、どこか焦る心を落ち着けることができる気がした。
雪代 郁人 : 1d100<=65 【幸運】 (1D100<=65) > 34 > 成功
幸い、敵兵に接触することなくC地点に到着することが出来た。
「奪還ってことはここに敵が……」
C地点にはフラッグが立っており、それを守るように二名の敵兵が銃を構えている。
雪代 郁人 : 1d100<=84 【ショットガン】 (1D100<=84) > 98 > 失敗
「うわぁ!」
銃の狙いが反れ暴発したことで、敵がこちらに気づいた。
「怪我はないか?」
「ごっごめん……余計な事しちゃった」
「郁人、拳貸して」
「拳……?」縮めた郁人の拳に、自分の拳を合わせて彼は言う。
「大丈夫だ。いっちょかましてやろうぜ、相棒。」
(相棒……。僕は今、浬の相棒なんだ)
~戦闘開始~まずは一番素早い郁人の攻撃から。
(銃使うのは暴発しそうで怖いな)
(僕のパシリで鍛えた金色の脚なら……)(鍛えてない)キックの場合、銃より行動順が遅いため他の人からスタート。
胡桃 浬 : 1d100<=80 【拳銃】 (1D100<=80) > 93 > 失敗
(浬も緊張してる……)
(それはそうだ、1人よりも2人の方が命が重い……)
(守りたい……)敵兵A : 1d100 <=60 (1D100) > 73 > 失敗
(敵兵も外した。ある意味、素人集団かもしれないし……当たらないかも)
敵兵B : 1d100<=60 拳銃 (1D100<=60) > 29 > 成功
(と思ったら、うわーーー!)
敵兵B : 1d2 1なら郁人 (1D2) > 1
敵兵B : 男はニヤリと郁人に拳銃を向ける。
雪代 郁人 : 1d100<=86 【回避】 (1D100<=86) > 5 > 成功(こうなったら回避だ!)
クリティカルを出したので、そのまま避けつつ間合いをつめる!
雪代 郁人 : 1d100<=90 【キック】 (1D100<=90) > 66 > 成功(姉:マーシャルアーツで遊んでも良い? 妹:ええで)
雪代 郁人 : 1d100<=90 【マーシャルアーツ】 (1D100<=90) > 31 > 成功
雪代 郁人 : 1d6+1d4 (1D6+1D4) > 2[2]+2[2] > 4
system : [ 敵兵B ] HP : 13 → 7「グフッ……!」
「結構効いてるぞ! これは俺もいいところ見せないとな」~2ターン目~
雪代 郁人 : 敵【ショットガン】 (1D100<=84) > 96 > 失敗
「嘘やん」
(拳銃が全く撃てない)
(殺すのをためらっているのか…?)胡桃 浬 : 1d100<=80 【拳銃】 (1D100<=80) > 1 > 成功
(浬は凄まじい集中力だ)
胡桃 浬 : 2d10 (2D10) > 14[7,7] > 14
「よし……! ヘッドショットだ。俺も負けられないからな」
(戦いなれてる……。でもまだ来たばかりだから、純粋に倒すのを喜べない自分も居る。この世界はやはり戦場というよりゲームって雰囲気に近いのかもしれない)
(俺の方が先に来てたんだから、郁人を守ってやらないと)敵兵B : 1d100<=60 拳銃 (1D100<=60) > 42 > 成功
敵兵B : 1d2 (1D2) > 1
ペロリと舌なめずりをし、敵兵は郁人を見据える。(蹴ったこと怒ってる…)
敵兵B : 1d10 (1D10) > 8
「yeah!!!」
「郁人!」
「うっ…」system : [ 雪代 郁人 ] HP : 12 → 4
(これだけの血を流しても死なないのか)
「撃てそうか……?」~3ターン目~
雪代 郁人 : 1d100<=84 【ショットガン】 (1D100<=84) > 13 > 成功
足元で死んだ人のショットガンを拾って……「近距離でドーン!( ◜◡◝ )」
雪代 郁人 : 4d6 (4D6) > 19[6,5,5,3] > 19
~戦闘END~
この場所に来て初めての本格的な戦闘が終わった。
「さすがの機転だったぜ、相棒」
「へへ……瀕死だけどね」
(回復しないと……)雪代 郁人 : 支援要請 1d100 (1D100) > 38
「衛生兵、けが人が居ます! ……僕なんですが」
雪代 郁人 : 3d4 (3D4) > 5[1,1,3] > 5
system : [ 雪代 郁人 ] HP : 4 → 9
「よくやったな、俺も手当てするから」
胡桃 浬 : 1d100<=80 【応急手当】
(1D100<=80) > 72 > 成功
胡桃 浬 : 1d3 (包帯を巻きつける) (1D3) > 3
system : [ 雪代 郁人 ] HP : 9 → 12
郁人全回復。
「よし、これで制圧できるな……無線するから待っててくれ」
「もう全く痛くない……」
(やっぱり、まるでゲームの世界だ)浬は全回復した郁人を確認し、安堵した面持ちで無線連絡を始める。
緊張から解放された様な気がして、あたりを見回したとき。はためくフラッグの向こうに、きらりと黒く光る銃口を見た。全ては一瞬。声を出して危険を知らせる間も、身を挺して庇う暇もなかった。がしゃんと床に銃が落ちる。浬 の腹部が真っ赤に染まっていた。驚いたようなその表情。
「浬!」
浬は地面に崩れ落ちて、ようやっとこちらに顔を向けた。その口が、ぱくぱくと動く。
「大丈夫、だ……どうせ……」
その先を聞くことはなかった。なぜなら額を何か熱いものが駆け抜けて行って、それきり意識は閉ざされたからである。
02.目覚め
無機質なアラーム音で目が覚める。背中にはじっとりと汗をかいていた。そこは自室のベッドの上だ。見慣れた部屋。夢、というにはあまりにリアルな死の体験だった。
「クソゲーか……?」
SANC 1/1d4
雪代 郁人 : 1d100 (1D100) > 30
system : [ 雪代 郁人 ] SAN : 64 → 63「浬は3日って言ってた…3日同じ夢を見ているってことだろうか」
「だとしても、普段の世間話で相談してくるかな。あぁでも、もう毎日は一緒じゃないし幼馴染でもたまにしか遊ばないし……」
「はぁ……とりあえず連絡してみるか…」そう言って郁人は電話をかけた。
「公務員って忙しいよなぁ……土日はそもそもお休みだろうか…」
しかし返事は返ってこなかった。
(忙しい……よな。そういえば最近タイミングが悪いと思っていたけれど……)
ここ4日間ずっと連絡がとれていないことを思い出す。
「同じことについて何かWEBにのってないかな?」
(先ほどあったことについて、ワードを色々ひっかけてみるか)
(えっと、同じ夢を見る、0地区、戦場、flag、ミッション……)・『第 0 区域』についてネットで調べる
日本の地理についての情報等が多く出てくる。ノイズとなる情報が多すぎるため、関係のありそうな情報を拾うには技能判定。関係ないサイトが沢山引っかかってしまい、思うように調べることができない。が、気になる SNS アカウントを発見する。
【memo】
アカウント名:伝説の冒険家(@bouken_legend)
「第 0 区域の情報求む!」
「相手も情報求む……か。相手も僕の顔を覚えてるかもしれない」
(DMを贈ってみよう)しがない冒険家にメッセージを送ると、「ここに連絡頼む☆直接、話そうぜ」と通話アプリのID を送ってくる。電話をかけると、若い男性の声が聞こえてきた。
「もしもし、連絡ありがとな! 俺が伝説の冒険家! よろしくな、それで何を知ってるんだ?!」
とワクワクした調子で聞かれるだろう。
「伝説の冒険家さん、初めまして。僕、昨日あの世界に行ったばかりでして……」
「君も調べてるんだな。気持ちわかるぜ! 俺の知ってることなら何でも話してやるよ! 遠慮なく聞いてくれ!」え、えへ。と郁人は変な笑みがこぼれる。
「えーと俺が知ってること、0地区だと」
ニコニコしながら冒険家は話を続ける。この話題を話せることが嬉しいみたいだ。
「今ネットの一部ゲーマー間で話題になってる新作 FPS ゲームらしいんだけど……それにしては、どこ探しても売ってないんだよな。これから出るって話も聞かないし。それに、何か噂の内容が妙なんだよ」
「えっ、夢なのにゲームってなってるんですか」
(奇想天外では)「0地区っていうゲームがあるんだ。多分それがやりたくて郁人も夢をみたんじゃないか?」
(なるほど……そのゲームがもととなってる世界なのか?)
(……たぶん)「あの、その世界で戻れなくなった人とかいます?」
「まぁ面白いゲームなら、やめられなくて廃人になっちまうかもな」
「そうです……ね。他には何かご存じですか?」「俺が知ってる『第 0 区域』は『かつてないほどリアルな FPS を体感できる』ゲームっていう話だ。『FPS プレイヤーにとっては夢のような時間だ』とかって噂。ただ、話題に出るだけで実際にプレイした人の話はあんまり聞けないんだ。でもなんか曰く付きっぽいんだよなあ…まあ確かな情報は少ねえんだけどな」
「そうなんですね……」(それほど有名ならばWEBで検索かけれそうだけどな…)
(信憑性のない話題ばかりが出てしまう)「そうだ!結構前にさ、マジで『第 0 区域』で遊んだっていう人間が立てた掲示板があったんだよな。今は削除されちまってんだけど、内容だけサルベージしたデータがあるんだよ。良かったら教えてやろうか?」
「……いいんですか!」
「もちろん、送っとくぞ」
(はぁ、はぁ、陽すぎて陰の僕が変に思われてないか……)【memo】
〇冒険家からのデータ
94:GALL(**.** **:**:**)
やばいまじでやばい おれマジで第 0 区域行っちまった
102:ななしのゲーマー
≫94
第 0 区域ってナニ?
119:ななしのゲーマー
≫94
聞いたことある。どんな感じ?
15
161:GALL(**.** **:**:**)
サイコーだアレ ヤバい ヤバい 行きたい
やめたくねえあそこから帰りたくねえ
まさかあんな体験できるなんて すぐ死んじまって惜しいことした
また行きたい 皆行こうぜ
170:ななしのゲーマー
≫161
なんだこいつ
172:ななしのゲーマー
≫161
ヤバいのお前だろwwww
179:ななしのゲーマー
第 0 区域なんてタイトル出てたか? 行きたいってアーケード?
……
444:GALL(**.** **:**:**)
もうこっちには戻ってこない、俺らは大佐についていく
皆もくだらない現実なんか捨てて戦場に行こうぜ
目的を与えられて戦い続けられる夢の中が一番の理想だ
二度とくそったれなリアルで目覚めたりしない
同志は縺」縺ヲ縺?≧繧オ繝舌ご繧キ繝ァ繝??縺ォ陦後▲縺ヲ莉、迥カ繧偵¥繧後→縺?≧繧「じゃあなんか情報手に入ったら随時教えてくれよな!」
という言葉を最後に冒険家は通話を切った。
「文字化けが気になるな。検索で解読してみよう」
「���u��って�?��サバゲショ�??に行って令状をくれと�?���」(令状……浬は何かしらの事件性を追って、……?)
雪代 郁人 : 1d100<=75 【知識】 (1D100<=75) > 16 > 成功
郁人は先ほどからの情報に「令状」というキーワードを合わせ検索を進めると、とあるページにたどり着いた。
【memo】
・掲示板
【リアル FPS】参加の誘い
----------------------
リアル FPS『第 0 区域』参戦の勇士を募る。
夢の戦場で銃を握れ。
テストプレイ経験者は特別ボーナス有。
「*****(住所) ショップ H&Y」での「召集令状」オーダーにて希望受付。
----------------------(ここが住所か。一応浬の家行った方がいいかな、手がかり見つかるかもしれない)
浬の家の前までつき、チャイムを押しても一向に現れない。仕事に行って不在なのかもしれない。
(中で倒れてるかもしれないし……鍵は……)
鍵は掛かっていたが、自分は合いカギを渡されていた。
(病気になった時の為のいざとなった鍵。彼女より優越感、いざ中へ)
そこには自室のベッドで死んだように眠る浬がいた。
「えっ?!」
「おーい、浬…?」揺すっても声をかけても目覚めない。
(机や本棚に何か手がかりは……)
持ち物や日記を漁ってみるも、とくに変わった様子はなかった。
(もし何日もこのままだったら病院で点滴うってもらってた方がいいかな)
そう思い、郁人は病院に連れていくことにした。
病院では「原因不明の昏睡状態」だと言われ、そのまま入院することとなった。(帰ってこれなくなるのは何か理由があるとして、でも相談なしで向こうの世界に行っちゃった……?)
(いやまさか……。そしたら、事件性が?)
(あれがテストプレイだとして、やっぱりショップH&Yの住所に行ってみるかな……)住所の場所に向かう。ゴミゴミとビルが並び立つ狭苦しい街の一角にひっそりと、挟まれるようにあった。小さなネオンの看板が出ていて、そこには「ジャンクショップ H&Y」と書いてある。
店内には古着や中古品が所狭しと陳列されていて、どうにも圧迫感を覚える。居心地が良い……とはお世辞にも言えないような有様だ。奥まったスペースにレジカウンターがあり、やる気なさげな若者が雑誌を読んでいる。
「すみません、掲示板を見たものなのですがあの世界、最高ですよね! って……へへ」
店員は「…あー、ハイ。そすか」とだるそうに返事をし、カウンターの下から茶封筒を取り出す。
「ひとつ 2000 円です」
購入すると、若者は興味なさげにまた雑誌へと視線を落とす。
「ありがとうございます……」
中には、銀色のちいさなパウチが入っている。表面には銃のイラストが印刷されている。同封されているメモには、パイプに詰めて、あるいはタバコのように巻いてそれを吸うイラストが描かれているようだ。『夢の戦場へ』とうたい文句が記載されている。
(ヤク?)
店員はけだるそうに郁人を見つめる。
「すみません、こんな人買いに来ました?」
スマホで浬の写真を見せる。
「中々会えなくて、探しているんです」
「んー、客の顔なんてあんま覚えてないっすけど、、、見てないっすね」
「そうですかぁ……」
(僕が買いに来るの ”いかにも” って感じで忘れられやすいけど、浬はシャンとしてるから……まぁ来たら少しは覚えてるかもって思ったんだけど)
「俺バイトなんで、なんも知らないっすよ。そういう名前の商品ってことしかわかんないっす。ほんと。店長が注文されたらこれ出せって言ってたんで......」
本当に店員はやるきがないバイトなので、何も知らなそうだ。しかし、カウンターの奥に通路が続いている。そこにある扉の一つ、やけに厳重そうな電子ロックが設置されていることに気が付くだろう。数桁のナンバーを打ち込むタイプのものだ。
「あの……あちらの部屋は……」
「ああ~~店長しか知らないっすね。……でも店長、ほとんど店には出てこないんすよォ」
「店のおさなのに……」
「へへ、本当っすよね」
「ちなみに今店長さんは何方に?」
「俺は店長が横居って名前くらいしか……」
「横居さん……」
「っす......」(横居さんは電話でやりとりしていてあまりこないのかな、居場所も知らなそう。じゃあもし夢で逢えたら実際に聞けばいいのかな……?)
(戦場だったからあまり話してくれなかったのかも。でも、次もきっと戦場だ。必ず殺されるクソゲーだとして、一回ミッション諦めて逃げてから聞き出す?)
前回の戦場はテストだとして、あの商品を使ったら本番だったら戻れないかも……伝説の冒険家さんは使ってるのだろうか? もう一度DMで聞いてみる?)
そう思いDMを行なうとすぐさま連絡が返ってくる。
(でもこんな危険そうな令状欲しいって言いだしたらヤバそうだな……ぼかしながら聞いてみるか。。。)
冒険家はショップの情報を話した途端、興奮した様子だ。
「うわーーっマジ!? やっべーそれ有力情報じゃん! 令状……特殊なルートなんだな!」
(知ってるか聴こうとしただけだけど、知らないのか……浬の同僚は何か知ってるかな)
仕事場に連絡すると、4日前から連絡がとれず仕事にも来ていないことが分かった。そして仕事内容もおかしところはない。特殊な業務を行なったわけでもないようだった。
(浬が無断で4日休んだらお部屋に押し入りそうだけど、普通の社会人ならそんなこともあるか~ってなるのかな。これの成分を検査機関で送って……今日は一度寝てみよう……)
そう思い検査機関へと向かった。
薬物検査の人「完全な麻薬ですね。確認します」
(ええええ)
薬物検査の人「これはどちらで?」
「落ちてたので、なんか危なそうだなと」
(じゃあ、浬はこれを吸った可能性が? でも浬の部屋には似たようなものが無かったな……あそこに倒れて扉の鍵もかかってたら、パウチが残ってるはずなのに無かったから吸ってない……ってことか)薬物検査の人「ありがとうございます。」
(麻薬かぁ……)
薬物検査の人 : 1d100<=30 目星 (1D100<=30) > 100 > 失敗
姉:100ファンで草
薬物検査の人 : (まぁ嘘はついてなさそうね)
(浬は原因不明って言ってた)
「はぁ……気が重くなるな……」
(使ったら捕まっちゃうかもしれないし……)郁人は沢山探索をして疲れたので、床につくことにする。
(ふぅ……疲れた……)
03.二夜目
ふ、と意識が浮上する。ぱちぱちと炎で木がはじける音。
重たい体を起こせば、そこはキャンプ地だった。(吸わなくてもこの場所に移動した……?)
重たい体を起こせば、そこはキャンプ地だった。前に見た風景とは少々様子が違うようだが、それでも前回体験した戦場と同じ場所なのだろうと推測できた。周囲を確認しようと見まわせば、近くにいた兵士が声をかけてくる。
「よう、見ない顔だな。ここには何回目だ?」
「2回目です」
「新兵が増えたのか。歓迎するぜ」「ところで皆さんは拳銃パウチについてご存じですか?」
(キャンプ地ってことはまだ戦闘は起こってない…?)
「あぁ、ここに来るための召集状のことだろ」(ご存じだ)
「あれは持ってるだけで良いんです? やはり吸うんです?」
「お前、吸ってないのにココへ来れたのか?運が良いヤツだな」
(例外があるのか…)
「浬って人見ました?」
「ここにはやたらと兵士がいるからな。覚えてねえよ。でも向こうの方に準備してる兵士が集まってるから、向こうにいるかもな」と、少し離れたところの大きなテントを指す。
「あ、そうですか……ちなみにあなた方が目が覚めたら現実に戻るんですか?」
「あぁ死んだら現実に戻る」
(でも浬は死んでも目が覚めてなかったぞ……)
(テント探してみよう)砂埃をかぶって薄汚れたイエローグリーンのテントだ。前にはいくつもコンテナが積みあがっていて、兵士たちが武器を吟味している。
「郁人!」
「浬! 聞きたいことが死ぬほどあるんだが?!」呼ぶ声が聞こえて声の主を探せば、銃を腕に抱えた浬が立っていた。
「今日はまだ戦闘が始まってないから、昨日よりはゆっくり話せそうだ」
「僕のターン! その1,浬が目が覚めないのは?」
「目が覚めない理由はすまないがわからない。ここに来たくて来たんじゃない人間は、1 度死ねば現実に帰れるようだ。なのに俺は帰れない。1 回の戦闘しか顔を出さない人間と、数回来てそのまま兵士になる人間がいるようだ」
「その2,あの薬は飲んだ? それにあのへんなお店には行った?」
「薬? なんのことだ……? いつも通り寝てたらこの場所に来たんだよな。だから店のこともさっぱり」
「帰れる目途も分からない感じ…?」
「多分、この侵略が続くかぎりはこの戦場も消えない……郁人は分からないが自分は現実に帰れない。一つでも多くミッションを成功させて、戦争に勝利しないといけないんだと思う」
「そっかぁ」「色々なやつに聞いてみたところ、ここに居ついている者の多くは招集令状を利用したらしい、この世界に長くいる人間や自分は死んでもキャンプ地で復活することができる。(リスポーン) 1 回で帰る人間は、死んだら帰れるらしい」
「でもその薬、完全な麻薬だって」
「麻薬がこの場所に来るカギに……?いったいどんな技術なんだ」「僕が現実世界でも長く浬と過ごすなら、麻薬を吸わないために、この世界で死なないことを目指したいところだけど、負けイベントとかもあるからさ……一緒にかえれるため頑張るね」
「そうだな、俺も帰れるように頑張る。お前と早く現実の世界で会いたいしな」
「まぁこの世界と現実の世界、僕自身は変わらないけど、殺伐とした世界じゃね」
「あぁ、ここにはFPSゲームしかないし笑」(この前は突然撃たれたから常に警戒していかないと)
「大佐から今日の戦闘について話を聴こうと思うけど、他に何か聴きたいことあるか?」
「そうだね、ミッションは何個あるとか聞いた?」
「具体的な数字は聞いてないが、敵を抑え込んだら戦いは終わりのはず」「浬以外に浬と同じようなことになってる人はいる?」
「いないな。ここに来たくて来たんじゃない人間は、1 度死ねば現実に帰れてる」「浬この世界のNPCになっちゃうよ。同僚の人にも連絡とったんだけど、4日来てないすわ~でびっくりだったよ。あの真面目な浬くんが来てなかったら最早日本の総理が動くよね」
「うーわ、現実では倒れてるんだもんな。休暇申請降りるかな……」
「真面目か」「そうだ、ここに可愛い子はいる?」
「どういうことだ」
「えっと。合鍵で開けたな~を思い出して → そうだ彼女いないのかな? 来て欲しくないタイミングとかあるかもしれないし → あっ、ここでは彼女出来るのかな? 全く考えたくないけどこの世界の住人になるかもしれないし。みたいな」
「男しかいねぇよ!」
「あ、そうなんだ。へへ……まだ変わらない関係が築けますね」「居ても居なくても変わらないだろ。一人だったらほんと心折れそうだったけど、郁人がまた来てくれて癒された」
「本当? 良かった」
「あぁ…ありがとな」(こんな場所じゃ気が滅入るだろうし、次はもっと面白い話題持ってこよ…)
そんな雑談を続けていると、周囲がざわめき立つ。
少し離れたところにある大きなテントから、立派な軍服を着た男が現れた。
「あれが大佐だ」と浬が耳打ちをしてくる。
大佐はマントをひるがえし兵士たちの前に立つ。兵士たちは整列して敬礼するのかと思えば、好き好きに銃を携えて突っ立っていたり足を組んでコンテナの上に座っていたりと自由な様子だ。
「諸君、もうすぐ次の戦いだ。近頃は兵士も増えてきたが、敵もさるもの。戦況がよくなったともろ手を挙げて喜ぶことはできない。気を引き締めて臨んで欲しい。」
「ではミッションを発表する。本日のミッションは、1 人あたり最低 2 つ敵のドッグタグを集めてくることだ。それでは合図まで、体を休めていてくれ」それを受け、兵士の間から「ほーい」だの「イエッサー」だのと適当な返事が聞こえてくる。
(よく考えたら戦いで最後まで勝ったことはない?)
「あの! ミッションって全体でいくつあるんですか?」
「ミッション…いくつとは数えられないな。敵をのしたら我々の勝利だ。貴様は敵兵を見たことがあるかな。 奴らは我々の守るべきものを脅かす、異界の侵略兵だ。やつらは我々へ常に敵意と殺意を向けてくる、残忍かつ狡猾な生物で、我々が生きる地球を支配しようと異界から赴いてきているのだ。
ここは奴らの侵入を防ぐための前線基地。ガイアに選ばれた勇猛なる兵士どもが集う場所だ。守るべきもののために、我々は戦わなければならない。この第 0 区域からやつらを外に出してはいけない。我々はそのために遣わされた先兵なのだ。」(へぇ……なるほど分からん)
「ちなみに大佐は横居さんについて何かご存じですか?」雪代 郁人 : 1d100<=95 【目星】 (1D100<=95) > 89 > 成功
大佐は横居という人物ではないが、横居のことをあまり良く思って無さそうということが分かった。
「ふん……。一度戦地に現れたのをみたことがあるくらいだな」
そのような会話をしていると、装備している無線機から甲高いアラーム音が響き渡る。
■2nd ミッション
「行け!行け!」
兵士たちがキャンプ地から走り出していく。
(始まった)
「どうやらもう次の戦闘が始まるらしいぜ」
「そっか、じゃあ行こうか」
「あぁ。郁人がここに来るのは 2 回目だから、無限にとは言わないが 1・2 回かなら自分と同じようにキャンプ地で復活できるはずだ。ただ、何度も死ぬと戻ってこない可能性も高い。だから、もしもの時は何回でも復活できる自分が盾になる。いいな?」
「えぇ…う~…他の人間を盾にするよ」
「準備はいいか?」●エンカウント 1
<聞き耳><追跡><忍び歩き><隠れる>1 つ選んでロール「僕は逃げ足かキョドルしか出来ないから見つかりやすいかも」
「それは隣にいるバディに任せてくれ。連携とれる俺たちがペアになって動けば強いだろ」
「OK! じゃあさっさと2人から奪おう!」
胡桃 浬 : 1d100<=20 【聞き耳】 (1D100<=20) > 3 > 成功
胡桃 浬は銃声、叫び声、爆発音。そんなものがごちゃ混ぜに存在する戦場で、浬は自分たちの方に向かってくる足音を聞き分ける。
奇襲が可能になり、相手の回避は半分の値となる。胡桃 浬の銃、郁人のキックをおよそ2回分受けた敵は1名倒れ、残りは1人となった。
「おやおや御仲間は一人だぞ? ちなみにこの敵とはお話出来る状況じゃないよね」
敵兵B「ファッキュー!」
「お話が通じ無さそうで草」
その後無事に敵兵Bも倒すことが出来た。続く2戦目も余裕だった。
「俺たち強すぎないか」
「ゲームには慣れてるからかなぁ」ドッグタグを1人2個手に入れたところで、甲高いアラーム音が響き渡る。戦闘終了の合図だ。兵士たちがまばらにキャンプ地へ戻っていき、手に入れたドッグタグをテント脇に放っていく。「キルレ幾つだ」「何回死んだ?」「数ヤバくねーか」等という会話が耳に入るだろう。
やがて陽が落ちると、キャンプ地の中央にぱちぱちと焚き火がおこされ、兵士たちは酒を飲んだり銃の試し打ちをしたり、自由にくつろぐ様子だ。
以降、キャンプ地の探索が可能になる■焚き火周辺
酒を飲んで騒いだり、カードゲームに興じたり。少し離れた場所では的に向かってナイフを投げたり銃を撃ったりで遊んでいる者たちもいる。大佐も交じって酒を飲んでいる。●兵士たち
ポーカーをしているようだ。どうやら配給の酒を賭けているらしい。(FPSゲーム好きだけれど、ここまでリアルで殺し合う中に楽しみを覚えているのは何時かは慣れるのかな……動物だって食べるしな)
(そもそも相手はコミュニケーション取れないし人じゃない可能性か……)「おっ、やっとここの場所にも女が来たのか?」
ガハハと笑う兵士の口からは強い酒の香りだ。
(はわぁ~良くいじめられたやつだ……鍛えても見えるもんだな)
浬が咳払いをすると男たちに「何か情報を知ってるか?」と聞いた。
「情報?それならポーカーに勝ったら教えてやるよ」
「大佐も詳しいこと知ってそうだよね」
「そうだな、ここを聞いたあとは大佐のテントにでも向かってみるか」
「あんだー?ポーカーしねぇのか?」(息抜きも大切かもしれないし)
「ポーカーしましょうか」■100ダイスを振って低いものが勝利
胡桃 浬 : 1d100 (1D100) > 75
「あはは、浬高っ」
「全然揃わなかった…」
「1d100ファンブルなら任せろ~!」雪代 郁人 : 1d100 (1D100) > 30
兵士A : 「あらよっと」1d100 (1D100) > 20
「強過ぎワロタぁ! 僕の御酒どうぞ」
兵士A「あんがとよっ、潔い漢は好きだぜ。まぁ、ここで会ったのも何かの縁だ! 一緒に飯でも食おうや!」
(もしものために半分残しておこうかな……浬この世界にずっといるわけだし……)
目の前にドカッと置かれた肉とパンをもぞもぞとポケットへしまう。机の中央にはポータブルプレイヤーが置かれており、傭兵を題材にした映画が流れていた。皆で食事を囲いながら鑑賞する。
兵士A「銃持って、世界のために特殊ミッションを毎日こなす! 俺らの人生の方がそこらへんの映画よりよっぽど最高だよな! でもこの映画はすげえアツイぜ。流れの傭兵、ベンとマークのバディものでさ。」
と身振り手振りを交え、勢いよく映画のネタバレを始める。
(バディ……か)
兵士A「最後のシーンでベンが裏切り敵について、マークを脅すんだ。マークは敵兵に囲まれてしまい、ベンに銃を突き付けられ、投降しろって言われる。絶体絶命! 唯一の相棒に裏切られて、もう終わりだって思うだろ?でもな、そこでマークはベンの目を見るんだ。そして次の瞬間、マークは思いっきり身を沈めてしゃがみこむ。その頭上を発砲音が通り過ぎて、さっきまでマークに銃を向けてた男が倒れた。」
兵士A「マークはそのまま転がって体勢を立て直すと、投げてよこされた拳銃を受け取るんだ。もちろん拳銃を投げてやったのはベンさ。そのまま無事に窮地を切り抜けて、二人が交わすのは憎まれ口だ。マークとベンは作戦の相談もないのに、アイコンタクトひとつで息ピッタリなのさ。相手が絶対に裏切らないって信頼があるんだよな。」
「そうなんですね」
兵士A「くーっ、カッコいいぜ! なあ、次の戦闘でやんね?俺マーク(しゃがんで避ける方)な」
「あ、僕は生き残りたいのでその時の状況で浬と行動します」
(昨日来たばかりだからか、この世界の達成感や周りの高揚についていけない……浬を無事に現実に戻すことでいっぱいいっぱいだ)
兵士A「あははっ、まぁせいぜい足引っ張んねぇように頑張りな!」
「あ、はは……」
【浬、大佐の所に行く? 別の場所も何か確認したい?】
【そうしよう】2人だけに聞こえる声で相談し、向かったのは大佐のキャンプだ。
大佐のキャンプに灯はついておらず、薄暗い。テントのため鍵などは無く、簡単に侵入できる。中はコンテナの他スチールフレームのデスクなど、かなり簡易的な家具も置かれている。全体的に雑然とした様子だ。
(大佐はまだ飲んでいるのかな? 何か手がかりになりそうなものは……)
雪代 郁人 : 1d100<=95 【目星】 (1D100<=95) > 64 > 成功
デスクを調べると、くたびれた分厚い革の日誌が見つかる。
〇大佐の日誌
戦いには目的が必要だ。戦いごとにミッションを決めよう。
もっと大きな目標を立てなければ。俺達は何のために戦うのか。尽きない命を何に費やしているのか。それを明確にしなければいけない。
……戦況は相変わらずの膠着状態だ。しかし、最近は志願兵が増加したことで味方全体の士気が上がっている。好ましい状況だ。
世界を脅かす異界からの侵略兵どもは、この『第 0 区域』で殲滅しなければならない。選ばれし精鋭たちと共に必ずや勝利を。一度横居を名乗る男が戦地に現れたが、やつは停戦人気取りの狂人だった。戦いを止めれば奴らは一挙に現実へと押し寄せていくだろう。平和主義者が国を亡ぼすのだ。崇高な使命のため、危険分子は排除した。(危険分子は排除したっていうけれど、今だ令状は配られている。店長というからには消えたらお店は困るだろうし)
(危険因子って言葉が気になるし、大佐と話すのは最後かな…)
大佐のテント以外に以下が近くにはある。
・Armory(武器庫)
・Residential Area(居住区)武器庫に向かうと、管理が甘いのかあまり整頓されている様子はない。
「何があるかな……防具があったら嬉しいんだけど」
雪代 郁人 : 1d100<=65 【幸運】 (1D100<=65) > 57 > 成功「ラッキーだったね」
「新品が1つ残ってたな、センキュ」
続いて向かったのは居住区だ。簡易的なベッドが置かれ、床の上には寝袋が転がっている。あちらこちらに物が転がり、土埃と汗のにおいが籠ってお世辞にも快適とは言い難い。数人兵士が寝転がって仮眠をとったり、雑誌を捲ったりしている。雪代 郁人 : 1d100<=95 【目星】 (1D100<=95) > 21 > 成功
雑多にモノが散らばったテントの中で、一番端によせられた寝袋。その下へ隠すように滑り込ませた小さな機械が押し込まれているのが目に付く。見てみれば、それはスマートフォンのような、ボイスレコーダーのような小型の携帯端末だった。赤いボタンがチカチカと点滅しているようだ。
(盗聴器とかだったら嫌だな……何か録音されてるのかな?)
「隠しているようにも見えるから、他の奴に聞かれないよう、一旦この場所を離れて起動しないか」
「うん、そうだね」キャンプから離れる。浬は 「一応誰か来ないか見張っておく」と少し離れた位置で兵士たちの挙動を見張った。
「何時狙撃されるか分からないし、近くで一緒に聞かない? 背中を何処か壁にして前だけ見張れば分かるんじゃ……って、用心しすぎかな」
「狙撃か……それは用心しないといけないな」
「で、それぞれ90度を見張る」
「そうだな、そうしよう」
物陰を探しつつカチリと点滅しているボタンを押すと、小さく起動音が響く。小さな画面に光が灯り、見たことのない言語の羅列が続いていった。暫くすると、勝手に機器がなにかを起動したのだろうか、ざざっとノイズ音が走った。それから、くぐもった音声が再生され始める。
『……勝手に遊び歩いたことはまあ、謝罪するよ。ああ……うん。まあ君たちの案件ではないね。そうだなあ……なんて言おうか。』
『ここは人間をはるかに超える科学技術を持った者が作成した、いわゆる仮想空間だ。薬物と魔術によって、精神を空間に捕えているんだ。察するに、戦闘行為自体が目的のシミュレーターではないかなと思うんだけど。』
『いや、むしろ目的は戦闘というか、そこで人間が死ぬこと自体なのか。大佐とかいう男はただの凡人で、管理者じゃない。すべて大元は召集令状とかいうのを発行している者だよ。つまり、ここで起きている殺し合いには』
「『……意味がない』」
声が重なる。
その声は、手にした端末と。そして、2人の前に現れた男の口から聞こえてきた。
まったく気配を感じ取ることが出来なかった。(先ほど魔術って言ってたからその類なのか?)
頭が思考する前に、身体が動く。
雪代 郁人 : 1d100<=86 【回避】 (1D100<=86) > 3 > クリティカル成功
胡桃 浬 : 1d100<=70 【回避】 (1D100<=70) > 42 > 成功
浬は避けられたと感じたが、頭を撃ち抜かれていた。
(本来、負けイベってことか……浬はキャンプで目が覚めたんだろうか)
頬に掠った傷から血が流れる。
「へぇ、僕の弾を避けられる人間がいるんだ。ここで素直に死んだ方が君のためだと思うけど」
「何故殺そうとするんですか?」「ただ起こしてあげようかなって、君みたいに面白そうな子までこの世界へ縛り付けるのもね」
(つまり今のところ中立もしくは味方の可能性が高い……? ここで僕が目を覚めたら、次は薬を吸わないといけないかもしれない……でもこれ以上教えては貰えなそうだ)「全てお楽しみってことですか……」
「そう。全てはお楽しみってこと。じゃあ撃っていいかな」再び真っ黒な銃口が郁人を捉える。黒く陰った中にうかがえるその人物は確か、生き延びろ、と声をかけてきた———そんな思考の最中、プシュ、という間の抜けた破裂音が響いて頭蓋骨を熱が通り抜けていく。
ああ、またか。そんな感慨を抱く間もなく、郁人は絶命するだろう
-
04.再び目覚める
無機質なアラーム音で目が覚める。
「クソゲー……では無かったな」
system : [ 雪代 郁人 ] SAN : 63 → 62
さて、今日もいつもの一日が始まった、のだろうか。時計の針は昼近くを指していた。ずいぶんと寝過ごしてしまった……。
「そういえば何も食べてないな……料理するか」
確かに、夢の中で食べた半分のパン。しかしお腹は膨れていなかった。
雪代 郁人 : 1d100<=5 (1D100<=5) > 9 > 失敗
「ぎりぎり不味そうな焦げたパン……」
焦げをそいだら何とか食べられそうだ。
「むぐむぐ、すべて大元は召集令状とかいうのを発行している者って言ってたな……店長さんに会えないかな。あの扉の奥も気になるけれど……確か鍵が付いていたっけ」
「バイトの人は特に情報を持ってなさそうだったけど、またお店に行ったら何か分かるかな……」
郁人は再び、「ジャンクショップ H&Y」へ向かうことにした。
(あの最初は生き延びろと言いながら、次は撃つという矛盾したあの人。『帰してあげようと思って』と言ってたということは、あの世界は悪い世界ってことなのかな)
店に到着しレジカウンターを見れば、バイトの若者が突っ伏している。様子を見れば、気絶しているようで意識がない。
店員の首元に痣がある。通常スタンガンではこのように気絶までしないのでは……とは思うが、そういったもので気絶させられたのではと感じる。
雪代 郁人 : 1d100<=90 【応急手当】 (1D100<=90) > 32 > 成功
(一先ず楽な体制にしておこう…)
店員の苦悶な表情が少し和らいだ気がした。扉に近づくと薄く空いている。ロックは解除されたままだ。
(そっと中を覗こう……)
そっと中を覗くと、先ほどの男がそこにはいた。
「貴方は先ほどの…」
「やぁ、また会ったね。ここには2つの部屋がある。君が知りたい情報もここにあるんじゃないかな」
「はぁ……ありがとうございます」
「じゃあ折角なので一緒に見て行こうよ。調べる手が多いのは効率的だしね」(情報を知っていそうな素振りだけれど、教えるのではなく一緒に調べるのか…)
「では一緒にお願い致します」●一つ目の部屋
物に溢れた室内だ。何もかもが秩序とはかけ離れたような状態でいっしょくたに配置されている。混沌とした様子はどこか狂人のそれを感じさせるようだ。上がってきた階段と、奥の壁にひとつドアがある。
室内に対して<目星>、詰み'あがった書物の山に<図書館>が振れる。雪代 郁人 : 1d100<=95 【目星】 (1D100<=95) > 27 > 成功
雪代 郁人 : 1d100<=25 【アイデア】 (1D100<=25) > 66 > 失敗
「ガラクタの下敷きになっていたボロボロのノートだね」
「あの世界からは帰らないといけないんですね」
「うん、僕が見つけた資料もみてみて」あふれかえる紙の山の中から、気になる資料を発見できる。どうやら執筆途中の論文の草稿ようだが、埃をかぶっているため最近は手をつけていなかったのだろうとわかる。下は、途切れた最後の記述である。(ナナシは銃を避けた郁人に興味を持っているため、わりかし親切に探してくれた)
〇擦り切れたノート
やつらの支配にくだってもう どれくらい わからない
自由はない 思こうも みはられている
それでも私は 自ぶんのおこないのしまつを
こうき心ではすまないあやまちだ った
しゅうりょうぷろグラムを作せい
エネルギーがたまるまでまだかかる
むこうのせかいに行き シンジツヲ伝え
かれらを帰さなければ
おろかだった
つぐない
ワタシの願いで きどうする
ごめんなさい「じゃあ、あの世界は別の所に繋がっていて、意外とヤバイ所だったから帰したい? 終了プログラムに間に合わなければ、あの世界から帰れなくなるとか」
〇埃をかぶった資料
……人類の発展は目覚ましく、地球上で我々が足を踏み入れていない未知の領域はどんどん減ってゆく。同時に、未知の存在の可能性が地球から消え失せて行く。しかし、私はあえて提唱したい。人類が知らない地下世界が存在するのだ、ということを。
様々な文献から示唆される地下世界の場所は、北米大陸オクラホマ。その地下に広大な空間が広がっているはずだ、というのが私の結論である。前回のフィールドワーク中、インディアンの古老から地下の民より賜ったという器物を見せてもらった。地底人は存在するのかもしれない、その真実を確かめに行こう……。雪代 郁人 : 1d100<=75 【知識】 (1D100<=75) > 44 > 成功
「地下の民より賜ったという器物で地底人の存在を感じた……のかな?」
その通りで、このメモを書いた人物は地下帝国を探しに北米に行ったようだ。
しかしその後の結末が擦り切れたノートに繋がるのであろうこと、予測がついた。
「もう一つのお部屋に行きますか?」
「そうだね」
●二つ目の部屋
部屋の中を埋め尽くすほど、何かの機材が溢れかえっている。詳しく見てみようとしても、探索者の知識が及ぶところではなくさっぱりわからない。ドアの真正面にデスクとモニターがある。・モニター
戦場が映しだされている。それはあなたも見覚えのある、あの『第 0 区域』に相違なかった。荒れ果てた街を駆けていく兵士たち。死んでは生き返りまた銃を手に取る彼らの目は、とうに正気を失って、ただ目の前の殺戮と血の匂いに爛々と輝いていた。この狂気の戦いに、あなたの相棒もまた身を投じているのだ。今この瞬間も。
SANC 0/1雪代 郁人 : 1d100 <=62 (1D100) > 13
また、モニターの右端にウィンドウが表示されており、なにか入力するような画面になっていることがわかる。
「何か貼ってあるな」
【memo】
〇付箋
Mike Alpha Yankee Delta Alpha Yankee「まさか……パスワードを貼っておくなんてそんなまさか。Maydayを入力するのか?」
(人間にしては解くのはやいな)
密かにナナシが感心していると、「ふぎゅ!」という声が上がる。振り返れば、足元に転がるナナシの姿と鉄パイプを持って佇む中年男性の姿があった。
戦闘開始。郁人の方が速いため、郁人からの攻撃となる。
雪代 郁人 : 1d100<=90 【キック】 (1D100<=90) > 44 > 成功
雪代 郁人 : 1d100<=90 【マーシャルアーツ】 (1D100<=90) > 50 > 成功
(殺さない程度に…)
雪代 郁人 : 1d6+1d4 (1D6+1D4) > 5[5]+3[3] > 8
system : [ 横居(よこい)博良(ひろよし) ] HP : 15 → 7
「うっ」
キックは頭を捉え脳震盪を起こしたようだった。
(縛っておくか…)
「名前が……大丈夫ですかっ!」郁人はナナシを揺さぶる。
「一蹴りで終わったけど」
「こう見えて(虐められていたんで)護身術を昔から習っているんです」
「弱気そうに見えて強かったり、弱いのか、強いのか。君ってよく分からないね。さて……これが横居かな? とすれば何はともあれ、召集令状を配っていた大元は潰せたということだね。あとは『第 0 区域』、パスワードを入力すれば終了プログラムが起動できる」「ちなみにお名前を聞いてないんですけど、聞いても良いんですか?」
「うーん、ではナナシと名乗っておこうかな。君たちで言うところの HN(ハンドルネーム)という文化だよ、それに倣うことにする」
「ナナシさん、ですね。終了プログラムを入れたら中の人間は消えてしまうのでしょうか……? それとも目を覚ますのですか?」
「居場所が失せたら現実に戻って来るしかない。体があるならそこに還れるだろう」
(えっと……じゃあこれで終わり……? なのかな)
「じゃあ君が見つけたパスワードを入力して、このゲームを終わりにしよう」
「『Mayday』入力してみますね」
郁人が無事パスワード「Mayday」を入力すると、モニターの画面が一変し、プログラム起動中、0%から始まり少しずつプログラムが動作しているようだ。すると、ナナシはあくまでもプログラムが完了するまでの雑談、といった調子で話し出す。
(何だか凄い出来事だったような、夢みたいな出来事だったな)
「今思いだしたけど、『第 0 区域』の人間はあそこの世界を誤解していたよね。戦う意味の、大儀のある世界だとね。志願兵みたいに、あの空間を受け入れてしまっている魂がこっちに戻ってくるのは難しいかもしれない。つまり、最終的に戻ってこれない可能性も大いにあるね。運次第かな」
(魂的な難しいお話だ……戻ってくるしかない魂が、でもあの世界に居たいと願ったら元の身体を捨てるってことか……な?)
「魂の在り方を考えさせられますね……」
「魂があの場所を受け入れてしまったらゲームに取り残されるんだ。まぁ君が助かってるから重要じゃないよね」
(浬は訳も分からずあの世界に居たし、まぁ戻ってくるかな……)
「僕は助かってるんですけど、あの、浬って人は望まずあの世界にとらわれているんですけど、その場合は魂の意思に従う形ですかね……。 貴方が撃った僕の隣に居た人です」
「なるほどね。あの世界に残りたいとか、あの世界の住人だ、とか考えちゃうと残ってしまう。君の友達はあの世界から''戻れない=この世界の住人になってしまったのかもしれない''って強固に思い込んでしまってるんじゃないかな」
「少し話が長くなるけど、聞いて貰ってもいい?このゲームの真相。終了プログラムが完了するまでヒマだしね。いいでしょ」
「真相……お願いします……ゴクリ」
「君の相棒はとある夜、眠りの狭間に迷い込みかけ、その過程で全くの偶然により『第 0 区域』に来てしまったんだ。それは君も同じだよね。そこで「大佐」に世界と任務について告げられる。
大佐は『第 0 区域』に魅了され、ここで生きることを決めた最初の人間なんだ。リスポーンするごとに精神力が削られてく感覚があるでしょ?度重なるリスポーンによって彼の正気(SAN 値)はとうに 0 になっている。発狂後は自分が作り上げた『第 0 区域』のお話を本当のものだと"思い込んで"おり、自分を「大佐」だと信じ込んでいる。現実世界での肉体は既に衰弱死してしまっているため救いようがないのさ。
あの世界に残りたいとか、あの世界の住人だと思うと魂がゲームに取り込まれる話はしたよね。君の相棒は、死んではリスポーンする兵士たちを目撃し「この戦争に勝利しなければここから出られないのでは」と誤解してしまった。そうして世界の仕組みを受け入れてしまったことで『第 0 区域』から世界の一員と認識され始め、他の新兵たちとは異なり 1 度死んでも目覚めることができなかった。自分にだけ「死に戻り」という帰還手段がなく、また現実に戻れないまま戦場で数日過ごさざるを得なかったことでより思い込みは強固になる。その結果、例外的に第 0 区域内への取り込み速度が上昇し、世界の構成員として半ば組み込まれてしまっているような状態なんだ。
(チョロイン……でも、浬は人を救いたいと思う節があるから、死を目の当たりにしているうちに判断が狂い始めたのかもしれないな)
「そしてこの仮想戦場『第 0 区域』とは何か。さっきメモで横居が地下帝国へ遊びにいったと書いてたでしょ。
ちょうど 3 年前、冒険家教授の横居博良が北米大陸の地下帝国に足を踏み入れてしまい、地下帝国の住人に不興を買ってしまったんだ。
横居は殺されるのは免れたものの、クン=ヤンの民(地下帝国の住人)は横居を自分たちの残虐な実験行為のために利用することを決めた。横居は地下帝国でその高度な技術や知識、冒涜的な呪術を教え込まれ発狂。そうして、クン=ヤンの民たちの実験を遂行する傀儡に成り下がったんだ。クン=ヤンの民の最大の関心ごととは感情や知識への刺激なんだよ。
彼らが今回研究しようとしていたのは、極限状態や特殊な状況下における生物の感情の動きだった。とはいえその実験のためでも、地下帝国に人間(実験用マウス)を呼び込むのは好ましくない。そこで彼らはすぐれた科学技術を用いて、仮想世界に特殊な闘技場を作成した。戦争状態のフィールドを模した空間である。その場所で、彼らは血なまぐさい実験を行うことにしたんだ。
横居はその闘技場にモルモットを呼ぶための仲介人として解放された。日本に帰国後、彼はクン=ヤンの民から製法を伝授された精神に作用する麻薬と「夢見る人の罠」の呪文を用いて犠牲者たちを捉え、闘技場へと送り込む。 この時点では、犠牲者は闘技場内で一度死ねば正気度を支払うことにはなるが、現実世界へと戻ってくることができていた。
ところが、そうして呼ばれて来たものの中に、この空間に魅入られた人間がいた。このリアルな夢で終わりのない戦争ごっこをしていたい。そう願ったのが「大佐」と呼ばれる人物だ。彼は自ら起きることを拒否し、遊び続けたいと強く思った。それをテレパシーで感じ取ったクン=ヤンの民は、興味深い感情の反応だと考えて彼の精神を空間に取り込むことにした。
いわゆる、ゲーム上の「リスポーン」を可能にしたんだ。「大佐」は自らこの世界の一員となって、ただの殺し合いではなく世界観や達成ミッションなどを増やし、新たに世界に来たものに語って聞かせた。「大佐」自身がストーリーテラーとなる、在りもしない世界を作り上げたんだよ。
そうして世界がよりゲームらしくなっていくと、「大佐」のようにこの世界に浸っていたいと考えるものも出てきた。そこでクン=ヤンの民は仮想空間に人間の精神を取り込む仕組みを備えつけることにし、結果彼らは「大佐」と同じように世界の一員となっていった。
この流れを受けて、クン=ヤンの民は横居を通し、ひそかにネット上で「夢の戦場」に関しての情報を流すことにした。この方法を用いれば横居を通じて呪文を行使するときよりはるかに多くの人間を闘技場に呼び込めるからだ。横居を通じて麻薬を配り、興味を持ったものたちが何度も闘技場に通い、夢中になり、やがて世界の一員になる。世界の一員になったものの身体は二度と目覚めず、やがては衰弱して死に至る。彼らは完全に仮想存在へと変わっていく。そうしてネット上に「夢の戦場」とその魅力。そしてそれにまつわる犠牲者の噂が広がった。真偽不明のその戦場は、『第 0 区域』と呼ばれることになったんだよ。」
「つまり。君の相棒は仮想空間、電子の海に取り込まれることになるし、終了プログラムを起動したから、彼を組みこんだままもうすぐ世界は消える。」
「君が迎えに行かなければね」
(わざと黙ってたな)
「……確実に帰ってこさせたいなら、手段はもう知ってるよね」
薄く笑みを浮かべ、パイプと召集令状を手渡してくる。
「虚飾に彩られた戦場で散る命が、ゴミみたいなものだって教えて来ればいいよ」
「人それぞれの人生ですし、ゴミかどうかはその人によるのでは……その人からしたら現実がゴミだったのかもしれませんし。っと……終了プログラムはあと少しか」
「あははっ、やっぱ面白いね。君は」
(タバコも吸ったことないのに上手く吸えるかな。でも)
「……命か犯罪かなら、命を取るかな」
「そう」
彼は楽しそうに微笑む。
(勘違いから目を覚ましてしまえばいい)
雪代 郁人は、よし、とパイプに令状を入れてそっと嗅いでみる。
召集令状を使用すると、あなたの意識はライトのスイッチを消すような気軽さで寸断される。無感覚、のち、思考を包むのは酩酊したような心地。とろけた思考は体から切り離され、ノイズ交じりの波にさらわれて遠く遠くに浮かんでいく。
郁人は確かな意思を持って、戦場へとまた向かう。
(しっかりしてそうに見えて肝心な所が変なんだ……昔から。浬も、僕も)
意識が鮮明になっていく。
水をコップに注いでいくように、形の無いものがはっきりと存在を取り戻す。 -
05.戦場
そこは戦場だった。
灰色に閉ざされた空が、ぽろぽろと剥がれ落ちては宙に真白の穴が開く。それはぽかりと雲のように浮かんでいる、けれど向こうには何もない。建物も、道も、ぐずぐずと崩れて、パズルを床に落としたときのように確実にバラバラにほどけていっていた。壊れゆく世界。「終了プログラムが進んだからか……」
見まわせば、街のどこにも敵兵の姿はない。兵士たちは銃を抱えていたが、その向けるべき場所を失って迷子のように立ち尽くしていた。敵兵はとっくに撤退していったのだろうか、この戦地から。
「浬ー! おーい!」
目に付く範囲にはいない。もっと奥だろうか。郁人がとにかく浬 を探そうとしたその時。あたりに声が響いた。無線機から兵士全員に届いている。
『諸君。戦いは終わりではない。諸君が生きる限り戦いは続く。銃を捨てるな、平和に逃げるな、使命を抱け!これは平和主義者の工作だ、つまり敵がいる。諸君らの中に敵が、いるのだ』
『ミッションだ。味方の中にいる敵を探し出し……殺せ』
それは大佐の声だった。無線を聞いた兵士たちの目の色が、にわかに変わる。隣に立っていた同胞と、お互いの顔を盗み見て……銃声。
戦闘は再開された。敵のいない戦場で、さっきまで笑いあっていた味方同士が撃ち合う。戸惑い、止めようとするものは真っ先に頭を撃ちぬかれ、死ぬ。生き返っては、また殺戮の輪に戻る。混乱と狂気の中で、血の匂いが渦巻いていた。
(無線機で全員に話しかけられるのか、皆目を覚ましてくれるかな……それっぽい名前……)
『俺は元帥、これが最後のミッションだ。この世界の真相は、かくかくしかじか。この世界は見て分かる通り壊れていっている。それが何よりの証拠だ。現実の世界では目を覚まさない限り衰弱し、死んでしまう。この世界が偽物であると自覚したものから助かる、己を撃って目を覚ませ』
無線機にて呼びかけてみる。真実を聞いた兵士達は目覚めていく者も現れる。
大佐「そいつの話を鵜呑みにするな! 平和主義者の工作だ!!」
大佐「ここで俺たちが食い止めないと、奴らは現実の世界にも襲い掛かってくるぞ!!! 家族は、仲間はどうする!!!」
『事実、帰ってこないものもいる。この壊れた世界から自覚したってことだ。俺の話が嘘ならば、家族を守るために再び帰ってくるはずでは?』
大佐「フン……。せいぜい嘘まいてるんだな」
そういうと通信が切れた。郁人は声音を戻して再び無線機を握る。
「こちら、郁人。浬応答願います」
「俺は今街はずれのキャンプにいる、ここまでこれそうか?」
「ベースキャンプから方角は?」
「えっと太陽は今……キャンプから東へ行ったところだ」
「高速の脚でダーッシュ!」郁人は戦闘を避けながら目当ての人物を探してひた走るだろう。銃声が少し遠くなり、血の匂いから抜け出した。テントが並ぶ町外れまできて、息を整えようと足を止めた。……ブーツが砂をこする音が聞こえる。反射的に顔を上げれば、正面には 浬が立っていた。
(そういえば何で目が覚めてない……だろう? 何かキャンプ地で起こっているのか?)
浬 に声をかけようとしたかもしれない。しかし、そんな郁人に浬 は拳銃を向けた。
「武器を捨てろ……郁人。残念だ、お前が裏切り者のスパイだったなんてな……」
背後から声が聞こえる。現れたのは大佐だった。
大佐「全く残念だ。平和主義者に毒されたものが我が軍から出てしまうとは……。我々は、崇高な使命をもつ選ばれた兵士なのだ。我々がここで流す血こそが世界をまもる盾になる。この世界を誰にも奪わせるものか。反逆者は消えてもらう」
大佐「浬、やれ」
浬 は銃を向けたまま、あなたをまっすぐに見ている。どうする?
(あの映画の真似事だとして、何故それをする必要があるんだ? 僕の身長は165cmで、浬ならば普通に頭上の大佐に当てられそうなものだけど)
浬が今にも撃ちそうに構えて郁人をジッと見つめている。
(普通に撃ってはいけない理由があるのか? あぁ、こんな僕をも救う浬のこと、大佐のことまで見捨てられなかったのかもしれない)
雪代 郁人 : 1d100<=95 【目星】 (1D100<=95) > 75 > 成功
長年二人は一緒だったので、浬が(あの映画はバディの信頼関係をあらわしていた。俺がお前を疑うことはない。俺たちならあの作戦出来るよな……)と考えていることが伝わる。
(映画に影響受けすぎたか……はやく、、、しゃがんてくれ……!)
浬がほんのりと頬を染めているような気がする。
「か、浬が、敵?! そ、そんなーーー!!!」
ドシャァ!!
「!!」
声にしないまま浬は笑んだ。とにかく、郁人がその場で瞬時に身をかがめた(転がった)。立て続けに響く発砲音。頭上を風が通り抜ける。
(へへ……お堅い警察官を辱めちまった)
大佐「……浬ィ! 貴様……」
腹を真っ赤に染めき、大佐が呻いた。浬 はあなたに駆け寄ってきて、隣に立つ。
「現実は映画みたいにうまくいかないと思ってたが……案外イケるな、マーク君?」(ここまでやりたかった)
そう言って、ニヤっと笑みを浮かべる。大佐は怒りを浮かべて、腰から銃を抜いた。
「ちょっと僕らの信頼関係じゃ向こうにバレバレかとひやひやしたよ」
「向こうは俺たちの信頼関係も何も知らないさ」
「大佐、本来の身体は永眠しているけど戦う? 僕としては時間制限的に無視して目を覚ます方が浬を救えそうで良いけど。僕が浬を撃とうか?僕に殺される世界線、どう?」
「お前に殺される世界線も悪くないけど……どうだろう、もうこの世界は終わる。ただ、大佐に心酔してる人は返らないかもしれないのが気がかりだな」
(流石浬、赤の他人にもお優しい。……だから僕も信用したんだけど)
「大佐を倒して言おう、皆に終戦だってな!」
・バトル開始
一番すばやい 雪代 郁人 のショットガンが大佐の肩を貫く。
(この世界の手練れが相手か)
次に行動する大佐の攻撃は郁人に9、浬に6のダメージを与えた。
「なかなかやるな…」
浬 : 1d100<=80 【拳銃】 (1D100<=80) > 51 > 成功
浬の攻撃が当たると、大佐は既に息絶え絶えだった。
system : [ 大佐 ] HP : 9 → 1
雪代 郁人 が銃を眉間に突きつける。
大佐「ハァ…ハァ…」
「何か言い残したことは?」
大佐「ぐっぅぁぁぁぁ、平和主義者に俺が負けることはない!!!」
雪代 郁人 : 1d100<=84 【ショットガン】 (1D100<=84) > 68 > 成功
「あばよぉおおおぉおおお!!!」
(大佐の命はこの世界にとどまりたくねぇって思わせるスタイル)大佐 : (これは詰み。。。か)
銃声
最後の一発を体に受け、大佐はどさりと地に崩れ落ちた。その体がじわりと消えていく。それを見届けて、浬 はふうとため息をつきしゃがみこんだ。
あなたに無線のマイクを渡してくる。
「ここにいる奴らに教えてやってくれよ。終戦だって」
「えっ浬が言ってよ」
「だって俺は何もしてない」
「沢山したよ、浬はこの世界の人を目覚めさせるために戦ったんでしょ? でもこの世界に留まりたい人は、結局留まっちゃうんだろうけど……大佐とかさ。僕は浬と帰れればそれだけで良かったからさ」
「それじゃ、せーので言うか?」
「一番の黒幕みたいだね! あははっせーの! 終戦しました~☆ みたいな」
「確かに、その部分だけ切り取るとな笑」
「浬は僕よりもこの世界に居たから、浬がふさわしいと思ったんだよ。この世界のことを信じたのも浬だし。実感するためにも、念には念を入れてね」
「そうか、なら……。真実を告げる者の存在に大佐は倒れた。もう永久に続く戦いは終わった。終戦だ」戦場にいるすべての兵士に終わりを告げる。終戦。無線機を通して、全ての兵に伝わっていった。ぽろぽろと崩れる世界から、ひとり、またひとりと、現実へ帰っていく。
「浬は寂しい? 愛着あった? 命を掛け合った仲間だったわけだし……でも現実でも守らないといけない人がいるもんね」
「まったく。お互い背中を預けたのは楽しい経験だったけど、何度死んでも生き返る戦いの世界より、たった一度の現実でお前と過ごしたい。色んなことしたいな」「……ありがとな、何度も電子の世界まで助けに来てくれて」
「へへ幼馴染だし、当たり前だよ」
浬は照れたように笑い「……また帰ってゲームでもしようぜ」とつぶやいた。
「もう世界は終わるけど、何か言い残したことはないか?」
「大麻を所持したり、大麻を購入しようとした場合は、実際に受け取ってなくても罪になる可能性があるんだよね……。現実に戻りたくないと思う時が来るなんて……次合う時はガラスの向こうかも。あ、ナナシさんが持ってたから所持してない……っよし」
「そんなこと考えてたのか……? そうなったら海外に逃げよう」
「ふへへ、警察官の言うことか~? じゃあ、僕たちだけの秘密。目が覚めて捕まってたらごめん」
楽しそうに笑う。
「ラッキー」
(初めは人を撃ったり、薬の存在で色々思ってたけれど、今やラッキーだもんな)
二人の話はつきない。
「夜が来て、また朝が来ちゃうね」
崩壊していた世界は、徐々に色を変えていた。
「高い所登って一緒にこの壊れる世界見てみる? 時間切れで帰れなくなるかな」
「デバッグみたいなことするなw でも、いいな! やろう!」
「良いんだw じゃあ行こう!」
(時間が過ぎて、壊れても、自覚してるから開放されるかな)
2人は登頂へ向かって走り出す。
「夕日が眩しいね。あっでも朝日なのかな。浬がお腹空いちゃうと思って、隠し持ったパンと御肉があるんだ、天辺で食べよう!」
かすんだ色の街、色あせた空に、一羽の鳥が舞っていた。閉鎖された意味のない戦場にて。確かに勝利をおさめたあなたたちを、祝うように。
「綺麗だな」
「そうだね」
非日常感を感じながら足を外に投げ出し、二人でパサパサになってしまったパンを分けあった。食事も終えた頃、
「浬」
そう言って郁人が手を引く。
「僕の考えてること、分かる?」
「?」
浬は優しく目を細め、笑みを浮かべている。
「帰ったら一緒にこんなゲーム作ろう! とか?」
「あはは! 一緒にゲーム作るのも、浬も最高だね!」
ゲームの終わりが近づいてきている。
「僕に殺される世界線が来たよ!」
壊れる世界へ一緒に飛び降りた。
「綺麗だね、浬」
「まさか飛び降りるとか!笑 ……少し怖いけど、綺麗だな」
夕暮れの部屋、高い窓から眺めた遠くの地面が脳裏をフラッシュバックする。
「大丈夫だよ、世界は崩壊してるし。僕たちを叩きつける地面が無いから」
あの時感じていた気持ちが思い出せないほど、楽しい出来事で塗りつぶされて、色んな価値観が変わっていく。それでも、あの日見た背中は何時までも変わることが無いだろう。
(死ぬのは怖くない。怖いのは、この世界に僕の存在が少しでも残ること。でも、浬を救えた事実が残るなら)
次に目覚めたのは、病院のベッドの上だった。どうやら救急で搬送されてきたらしい。体に異常は見られないとのことだ。
無事に浬も意識を取り戻したようである。
その後ショップを尋ねても、閉鎖されもぬけの殻になった建物があるだけだ。『第 0 区域』の噂は終息し、ただの都市伝説へと変わっていく。遠く電子の海の中を漂っていた救難信号。それが発信されることはもうない。
それでもあなたたちは確かに覚えているだろう、どこにも存在しない戦場で互いに背中を、命を預け合ったことを。
探索者、KPC 生還
生還報酬 1d10
行動選択でしゃがんだ 1d6『メーデー、電子の戦場より。』
雪代 郁人 : 1d10+1d6 (1D10+1D6) > 10[10]+5[5] > 15
胡桃 浬 : 1d10+1d6 (1D10+1D6) > 3[3]+2[2] > 5
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おまけ その後
郁人が浬を誘って、一緒にゲームを作成する。
(浬を放っておいたら、何時、誰かのために命落とすか分からんぞ……)
今までにないゲームシステムとリアルなゲームは巷で噂の人気ゲームになった。
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おまけ 浬から見た郁人
(全く心を開く気配を見せない……)
それが雪代 郁人への第一印象だった。もちろん、それが通常の人もいるので、特に気にすることでも無かったが、常に何かに怯えるように視線を忙しなく動かす様子は何処か疲弊することがないのか、心配になる。
(人が多い所が苦手なのか?)
そう思って家に呼んでみると、ますます緊張しているようだった。余計なことをしてしまったかもしれない、せめてもと手近にあった、父が借りてきたばかりのビデオを一緒に見るかどうか誘ってみる。
これならば話す必要もなければ、顔色を伺う心配もないと思ったからだ。小学生には難しい内容だったが、郁人は存外気に入ったようで、食い入るように見入っていた。
「ベンとマーク、かっこいいね~!」
「えっ」ベンとマークのカッコ良さに疑問を抱いたのではなく、スーパー人見知りの郁人が初めて敬語を使わずに話しかけたことに驚いた。
「それなら、FPSっていうゲームがあるよ。遊んでみる?」
「良いの?! 遊びたい!」ゲームで遊んでいくうちに、いつの間にか自然と心の壁が取り払われる。
(ベンとマークは凄いな)笑うことのなかった人も夢中にさせて笑顔にさせることが出来る。傷から守ることしか(それも怪しいけど)出来ないけど、何時の日か耐えるだけじゃない、楽しくさせるような何かを作れたら良いな。
ゲーム音が鳴る、静かな部屋で浬は考えていた。